ACT26-① ミドルフェイズ 桃山クルミ 『え!? ネフィリムだけを斬れるの⁉』

銀造:今度は誰のシーン? マスターシーン?


GM:今度はPC②、桃山クルミのシーンだね。


クルミ:私かー。私は……どっちに行ったらよろしいのかしら?


GM:あなたのスマホに市瀬(いちのせ)さんから連絡が入ります。


クルミ:なんだろ? 急いで出ます。


GM/市瀬:「すぐ……都立病院に!」


銀造:都立病院? ってことは、舞台は首都?(GM頷く)


GM/市瀬:「そこにいる、“風見鶏”という生徒のもとへ……すぐ! 極めて強力なオーダーの反応が!」


クルミ:「え!? 都立病院ってことは、まさか……この間、目覚めたという生存者の女の子ですか?」


GM/市瀬:「まさか、オーダーだったとは! ……ところで、交通手段は?」


ふうか:え? どういうこと?


クルミ:私ねー、持ってるよー!


GM:おおー。


クルミ:あれ? なんだっけ? 自転車だったかな?


影介:自転車!?(←交通手段:駆け足+電車=光速)


ふうか:あ! 私、自転車持ってるー!(←現在ICU)


銀造:イヤ、そっちは関係ないでしょ? クルミはバイクじゃなかった?


クルミ:(キャラクターシート確認)あ、オートバイだった。持ってる。


GM:あ、持ってるんだ。ブルン、ブルン、ブルン!


クルミ:「至急、バイクで向かいます!」


GM:チェッ!(舌打ち)


クルミ:何でー? だってちゃんと6点も使って買ったのに、「チェッ!」とか言われたくないんだけどー。


GM:いや、ホラ、そこは光の速さで走るとかー。


クルミ:(影介を指して)それはこの人でしょ!


銀造:あ、そういう時、アレか。俺の場合は、エキストラの人を捕まえて、「……すみません。乗せて行ってもらっていいですか?」ってやればいいのか。《†ブレインウォッシュ》で。


GM:クソ野郎っぽいなー。


銀造:む? つまり俺って、交通手段いらないキャラじゃん!


クルミ:そっか。そういうのって、カッコイイね!


GM:何で!? カッコ良くないじゃん!


クルミ:偶然、通りかかった車を止めて、能力を使って現場まで乗せてもらうってことでしょ? カッコイイじゃん。ドラマとかでもあるよねー。


GM:そうかなー。では、クルミさん。〈運転〉判定を。


クルミ:えーと。〈運転〉は50%だから……《†エレクトロマグネティクス》を使って、成功率を30%上げてー。


GM:クルミの能力は、《電磁操作(エレクトロニックダンス)》ですね? 何が起きるんですか?


クルミ:えー? バイクが私の言うことを聞く? とか?


銀造:漠然すぎる!(笑)


クルミ:あ! わかった! 私が通ると青信号に変わるの。みんな。「ポーン、ポーン、ポーン!」って。


一同:おおーーー!


銀造:スゴイね、それ。


GM:それは、カッコイイね。信号は電気ですからね。OKです。


クルミ:やったー!


GM:クルミが、「急がなきゃ!」とか思ってバイクで行くと、信号がみんな青! って感じですね。では+30%で判定を。


クルミ:わーい!


銀造:え!? さっきみたいに15%じゃないの? ボーナス。


GM:今の演出は、さっきの影介の時とは全然違いますよね?


銀造:さっきのヤツ、何だっけ?


ふうか:「蛍光灯がチカチカしてる」……って。


クルミ:チカチカしてボーナス……(笑)。


影介:あひゃひゃひゃひゃ……。


銀造:ムリだーーー!(笑)


GM:アレはダメでしょ!? というわけで、クルミ。判定をどうぞ。


クルミ:行くよー。80%でー。……(コロコロ)……成功。


GM:では、あなたは……「全部、青ォォォ! ま、常識だけどねー」って具合に道を進みます。


影介:毎日、やってるからね!


クルミ:毎日はやってないよー。疲れちゃうから。使う度に、コストで「疲労:1」とかだもん。


GM:まあ、という感じで、あなたは病院に飛び込んで行きます。


クルミ:はい!


GM:……そう言えば、日本刀、どうやって持ち歩いているんですか?


クルミ:日本刀かぁ……! 日本刀はさぁ……できればホラ、背中とかに担ぎたいけどねー。


銀造:でもさ、背中に竿状のモノを担いで歩いている人って、明らかにおかしいよね。


クルミ:うーん……。


銀造:いっそのこと、薙刀くらい長かったら、「これがアタシの杖!」とか言い張るとか。


GM:でも「剣術」だからねー。そう言えば、どんな剣術なの? 居合? 古式?


クルミ:どうやって持ち歩けば、警察に職務質問されなくてすむのかなー……。


影介:でも、警察に職務質問されても大丈夫なんじゃないの? ガーデンだから。


銀造:そうそう。「アタシ、ガーデンですけど、何か?」みたいな。


ふうか:感じ、わるっ!


一同:(笑)。


クルミ:日本刀は……やっぱりさ、腰に差したいから。


GM:そう言えば、武器名、何でしたっけ?


クルミ:えーと……「刀」。


銀造:ああ、安い方の。


クルミ:何だよ、安いってー。


銀造:常備化する点数。ホラ、「大太刀」もあるから。


GM:安くないよ。だって、自分で鍛えた刀なんだよ。雷に打たれて。


クルミ:そうそう。雷で鍛えたから! ピカーン! ゴロゴローーー!


銀造:それ、本当に斬れるのかなぁ?


クルミ:斬れるの! スゴイ良く! ……でも、どうしようかな? だってさ、やっぱり絵的には腰に差していた方がカッコイイよね?


GM:まあ、イメージ的には、「大太刀」なら「背中」、「小太刀」なら「腰」ですね。


クルミ:普通の刀だから、腰だよね。


GM:うーん。キャラの剣術流派が「居合」なら「腰」っていうイメージかな。


クルミ:じゃあ、やっぱ「腰」だね。


銀造:しかし、腰に刀を下げて歩いているって、明らかに……。


GM:いやいや、普段、持ち歩く時は別として、準備する時は「腰」ってこと。


銀造:なるほど。





 まあ、かの有名なアーケードゲーム『サムライスピリッツ』とかだと、バカでかい刀を使う“覇王丸(はおうまる)”派か、居合いの“橘右京(たちばなうきょう)”派か、みたいなことかと。


 でも薙刀の“千両狂死郎(せんりょうきょうしろう)”もイイよね!





GM:というわけで、あなたが着くと、病院の中は阿鼻叫喚なんですけど。


クルミ:ギャーーーー!!


影介:どうしたんだろう?


GM:スミマセン。〈観察〉もしくは〈知識:ネフィリム〉を……って、〈知識:ネフィリム〉って持ってるか。 じゃあ〈観察〉に+30%でいいよ。どうぞ。


クルミ:はい、じゃあ、120%で。


GM:ぐあぁーーー!! マジかよ!? ……そういや、〈観察〉の名手なんだった!!


クルミ:ふらほらふらほら……(←意味不明)。はいっ! ……(コロコロ)……良かった。成功だー。普通に。


GM:あなたが駐車場にバイクを止めて、「ズンズン!」って感じに病院の中に入っていくと、あちこちから悲鳴が上がってます。


クルミ:悲鳴?


GM:病院に入って、受付の方に行こうとすると、受付の事務の人が「アぁあァアアァアあぁぁーーーー!!」とか叫び声を上げて走ってきます。


クルミ:じゃあ、腕とかを「ガッ!」と掴んで、「どうしたぁッッ!?」って。


GM:事務員の人は「アッバァァァーーー!!」とか言いながら、体が燃えているんですけど。


クルミ:えーーー!?


ふうか:なんで? おかしい……オカシイよーーー!(叫)


クルミ:それってさぁ……普通、どうするの? 消したりできるの?


GM:えーと、あなたの〈観察〉は……って、成功するからわかります。体の中に……「入って」ます。


クルミ:い゛い゛や゛ぁぁぁぁぁぁぁあ゛!!


GM:あなたの目の前で、「ゴオォォォォォ!!」と体が燃え上がります!!


クルミ:ギィヤ゛ァァァーーー!!


GM:で、持ってるの?


クルミ:? 何を?


GM:燃え上がっている人の体を。手、燃えますよ?


クルミ:え、あ? あぁ……。じゃ、じゃあ、放す……。


銀造:あぁ、こんな氷結能力(フリーズバインド)があったら、炎ごと凍らせることができるのに!


影介:人間ごと?


銀造:そうそう。ってそれじゃダメじゃん!


ふうか:死ぬわー、それ。


GM:で、どうします?


クルミ:普通さぁ、ネフィリムと会ったら、どうするの?


銀造:ネフィリムだけ斬るんでしょ? アナタの、その刀で。


クルミ:え!? ネフィリムだけを斬れるの!?


銀造:イヤ、わかんないけど。


クルミ:本物だよね、この刀。そんな不思議な刀じゃないよね。


GM:ネフィリムもろとも斬るんじゃないですか? やっぱり。


銀造:いや、ホラ、あるじゃん。そういう刀。『化物語(ばけものがたり)』に出てくる霊刀『心渡り(こころわたり)』みたいなヤツ。


クルミ:怪異だけを斬れる刀でしょ? わかるけど……。


銀造:「だからこれは、そういう刀なの!」とか言いつつ「ズバシャ!」「ギャーーー!」みたいな。


影介:最後の悲鳴は?


ふうか:ねえ! 結局、中の人も死んでるじゃん! それ!


銀造/クルミ:「大丈夫! 今のはネフィリムの悲鳴だから~!(笑)」


クルミ:「これは、そういう刀だから~!(笑)」


GM:そう自称しながらやるんですか?(笑)


クルミ:いいの? そういう設定を勝手に考えても。


銀造:でも、基本的には、燃えてる人が助かるとも思えないけどな。


影介:確かに。


GM:では、クルミの刀は、「ネフィリムだけを斬る刀」なんですね?


クルミ:なになになに!?


銀造:ホラホラ、おかしな方向に行き始めたよ?


銀造/クルミ:「え? 刀は2本持ってるから、大丈夫だけど?」


一同:アハハハハハ!(笑)


クルミ:そういう「縛り」って、つけた方がいいの?


銀造:それはわかんないけど。ネフィリム以外が斬れないとか、刀として如何なものかと。むしろ、人間しかダメージを与えない刀、とか。


GM:うぉぉぉ! それは、マジで使えねー(笑)。


影介:確かに(笑)。


GM:では、どうします?


クルミ:でも、せっかく自分でピカゴロゴロって作った刀だから。


銀造:え? 大丈夫? それ。それ以外の攻撃手段って持ってるんだよね?


クルミ:え!? 持ってないよ!?


銀造:いや、特殊能力とかだけど。


クルミ:あー。それならあるねー。


銀造:まあ、買った刀なのに、そんな変な能力だったら、「は?」って感じだけど、自分で作ったんだったら、「そういうこともあるかも」って感じだよね。


クルミ:そっか!


銀造:つまり、その刀は、刀の形をしているように見えるけど、刃がないんじゃないの?


クルミ:ああ! そうだね! 私にだけ見えるんだね、この刀。


銀造:え? 「私にしか見えない刀」なの? それ。アタマのオカシイ人?


影介:あひゃひゃひゃひゃ……(笑)。


クルミ:なんでだよー!(怒)


銀造:だってさー、それだと、他の人が見たら、手をブンブン振り回してるだけに見えるから「ナニやってんだ、アイツ?」「……私の刀はネフィリムだけを斬る……!」みたいな?


ふうか:でもさー。「人を斬らない」って言うのは『るろうに剣心』みたいだね。『逆刃刀(さかばとう)』だっけ?


クルミ:カッコイイね。じゃあ、それで。


銀造:で、結局、刀の形はしているの? それとも誰にも見えない“概念”の刀ってこと?


クルミ:うーん……。普通の刀に見えるけど、ネフィリムしか斬れない刀! 「ネフィリムしか斬れない」っと(シートに書き込む)。


銀造:どんなに困っても、木とか石とか扉とかも斬れないと……(笑)。


クルミ:そうだね! 「木とか斬れない」「扉とか斬れない」ってことで!


銀造:え? マジで?


GM:なるほどー。やる時は特殊能力とか使って……。


クルミ:そうそう。


GM:やっべー! クルミさんの刀がめっちゃヒロイックな刀になってるー(笑)みたいな。


クルミ:(笑)ってナニ!?


GM:「人は斬らない! ……ネフィリムだけを斬る!」ってカッコイイじゃん!


銀造:イヤ、そこは「人は斬らない!」じゃなくて「斬れない!」だから。


GM:でも殴ったらどうなるんだろう?


銀造:そこは普通に効くんじゃないの? 斬れないだけだから。つーか、もともと「人は斬れない」っていう設定だけだったのに、本人がわざわざ「木とか扉とかも斬れない」って決めちゃったから。


GM:いや、「ネフィリムだけを斬る刀」だからカッコイイんでしょ!?


銀造:でも「ネフィリムしか斬れない刀」って言い方だと、急に「ショボーン」ってなっちゃうけどねー。


ふうか:それは言い方の問題でしょ!?


影介:それはあるねー。




 「ピンポーン!」


 この時、不意にチャイムが鳴り響いた。

 話の展開のことではなく、現実の話として。


 そう、ピザ屋さんがピザを持ってきてくれたのである。


 新しいプレイヤーの登場を期待した方には申し訳ないが、ここで急にプレイヤーを増やすと、話の展開がサッパリわけわかんなくなるので、諦めていただきたい。


 というわけで『宅配ピザ』である。

 実は、さっき頼んでおいたのだ。

 デキる男、銀造(のプレイヤー)である。


 TRPGと言えば、お菓子にジュース。

 しかし、ここに『宅配ピザ』も付け加えて置かねばなるまい。


 わざわざコンビニに(一人だけ)買い出しに行く必要もなく。

 外に食べに行ってプレイ時間を浪費することもなく。


 実に素晴らしい!


 ちなみにピザはとりあえず1枚を『ミックス』、もう1枚は『キノコ系』にした。

 キノコ、好きだから。頼む人間の特権として。割り勘だけど。





銀造:まあ、ピザも届いたし、取りあえず食いながら名前でも決めたら?


GM:名前?


銀造:だって、そんな刀だったら、名前くらい付けてあるんじゃないの?


影介:確かに、そうだね。


クルミ:わかった! 名前、考える!





 こうして、クルミの刀は「ネフィリムだけを斬る刀」ということに。

 これがどういう展開をもたらすのか、現在のところ、何とも言えない。

 カッコイイけど、使いづらそうな気もするが。


 とは言え、こういう設定が生えてきたら、それを生かすのも面白いので、お勧めである。

 ただ、勝手にやると、ちょっとイタい感じの単なる暴走になるという現実。

 実に生きづらい世の中である。



 でも、刀とかに名前を付けるのはカッコイイし、暴走にはならないから大丈夫!


 クルミさんがどんな名前をつけるのか、超期待だね!


 まさか……『雷神丸』とか、そういう誰でもが予想できるような名前……じゃないよね?


 ガンバ! クルミ!

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