ACT25 ミドルフェイズ 風見鶏ふうか 『(キメ顔で)トルネーーード!!』

GM:じゃあ、次。PC①の風見鶏ふうか。


ふうか:はい!


GM:あなたは……、また寝ている。病室のベッドの上で。


ふうか:また寝てるのかー。そっかー。


GM:うん。そして、その中であなたが見る夢は……。何の夢を見る?


ふうか:夢?


GM:そう、夢。


ふうか:うーん……。「ヘビ」かな? 蛇の夢。


GM:蛇なんだ。いいでしょう。あなたの足には、蛇が纏(まと)わり付いている。


ふうか:それって夢だよね?


GM:夢。でも本当かもしれない。足首から、ズリズリと蛇が這い上ってくる度に、あなたの足は燃えるようだ。


クルミ:ひー……。


GM:蛇の体は……火で出来ている。だから、蛇が這い回ると、あなたの足首からふくらはぎまでが、まるで燃えるように感じる。……ジリジリと焦げている。


ふうか:イヤだ~(泣)。


GM:それで? あなたは、どうする?


ふうか:どうする……? 蛇を落とす。頑張って。足をバタバタして。


GM:でも、蛇は離れない。蛇の方があなたよりも力が強いよ。


ふうか:マジかー……。


GM:そして、蛇がゆっくりと足首から、ふくらはぎから、太ももから上ってくると、あなたの背中に入り込もうとしている。あなたの体の中に。


ふうか:ヤダなー……。困ったなー……。


クルミ:コワイ~。


影介:このままだと入られちゃうよ? 体の中に。


銀造:蛇が体の中に入るとか、嫌すぎる……。


ふうか:じゃあ、入られないように頑張る。


GM:どうやって?


ふうか:どうすればいいんだろう……? 私の力じゃ、蛇、取れないじゃん……。


GM:そうですね。


ふうか:あ、そうか! 夢から覚めればいいんだ! ガバッて起きる!


銀造:そんな都合良く起きられないと思うが……。


ふうか:そっかー……。


クルミ:夢だし、今なら《風候操作(ウェザーキャスト)》の能力(チカラ)が使えるかもよ? 《†エアカッター》!


銀造:《†トルネード》! 病室の中で使うと問題あるけど。


GM:ま、夢の中だからね。


クルミ:そうだよ、ここは夢の中なんだよ。夢の中ならできるかもしれないよ?


GM:そう。夢の中なら、普段なら出来ないことが出来る……ハズ!


影介:『風の魔人』を呼び出して~。


銀造:何でいきなり“魔人”なんだよ!? 能力(チカラ)に関係あるものにしろよ。


影介:そっかー。でも“魔人”とか呼んだらカッコいいじゃん。


銀造:まあ、そうかも知れないけどさ。そもそも“魔人”って敵っぽいし。


ふうか:うーん……夢の中だからー……(ルールブック確認中)。


銀造:あれ? そう言えば、ふうかって、能力(チカラ)を使えるようになってるんだっけ?


影介:一応、オープニングの最後で使えるようになってたよね。


GM:無意識だけどね。


銀造:そうか。なら……。


ふうか:じゃあ、《†トルネード》とか、やっちゃおーかなー。


銀造:《†トルネード》……って(ルールブック確認)……威力、たかっ!


GM:(ルールブック確認)これか。周囲に竜巻を起こすわけだ。


影介:そう言えばさ、夢の中だけど、疲れたり、軽傷を負ったりするの?


GM:ああ、コストの話? もちろん使うよ。能力を使うわけだから。


銀造:(ルールブック確認)あ、でも、威力だけで言えば《†エアカッター》の方が強いのか。単体だけど。《†トルネード》の方は、やや威力が低いけど、周囲全体なんだ。コストは《†エアカッター》が「疲労:1」だけど、《†トルネード》は「軽傷:1」だね。


クルミ:でも、いっぱいいるんでしょ? 蛇。


GM:そうだね。何体もいるね。


銀造:あ、いっぱいいるんだ。


ふうか:じゃあ、《†トルネード》で。ハイ、OK!


銀造:何か、軽いなー……。


GM:では〈特性能力〉の判定をどうぞ。


ふうか:これって成功率が100%あるから、攻撃を2回に分けることも出来るんだっけ?


GM:出来るよ。50%を2回に。


ふうか:うーん、やっぱり確実に1回で行こうっと。


銀造:クリティカル出さないとダメだぞ!(←他人事)


クルミ:何か、カッコいいことを叫ぶんだ!(←勝手な要望)


ふうか:「(キメ顔で)トルネーーード!!」


銀造:って技名かよ!?


クルミ:そういう意味じゃなかったんだけど……(笑)。


影介:カッコいいけどさぁ。何で技の名前、知ってんの?(笑)


ふうか:え、えーと? じゃあ……「さっきのヘビィィィ!!」


影介:えーーー!?(笑)


ふうか:いいの! そりゃーーー! クリティカル、こーーーい! クリティカルこーーーい! ……(コロコロ)……あー、普通の成功。


影介:まあ、そんなもんだよねー。


GM:了解。では、何が起きる?


ふうか:んー……。風で、蛇がみんな「ブーン」って、消えて飛んでいく! かな?


GM:了解。じゃあ、病室の中を嵐が吹き荒れるんだね? 嵐があなたの体から蛇を削ぎ落として、包帯がバタバタと舞うわけだ。


ふうか:うん! って大丈夫なのかな? 私。


GM:どうでしょう?


ふうか:まあ、夢だったら大丈夫だね!


銀造:いやー、夢の中でも包帯してるんだね!


ふうか:ね! って、そうだよ! 私も気になってたんだけど、夢の中でも包帯してるの?


GM:しているよ。


ふうか:ねえねえ、それって、夢でいいのかな? 本当に?(疑)


GM:あなたは1回起きているよね? つまり、自分が包帯でグルグル巻きになっていることを知っている。だから、別におかしいことじゃない。


ふうか:ああ、そっか。


GM:OK? じゃあ、ここで1回シーン、カットするよ。


銀造:え? カットするの?


ふうか:何か、早くない? カットするの。


GM:はい。でもカットします。


影介:あー……。これから始まるのが大事なシーンだから?


GM:そのとおり。


ふうか:ふうん……。ま、大事なシーンならいっか。カットでも。





 『夢だったら大丈夫!』とか言って、蛇たち相手に、これ見よがしな大技を使い、その威力に酔いしれる“風使い”ふうか。


 アニメとかで有りがちな『初登場のシーン(だけ)超強い!』という残念なフラグが立っていないか、他人事ながら心配である。

 銀造(しゅじんこう)からすれば、「正直、見ていて痛々しい……」と言わざるを得ない。



 しかし。

 しかしである。



 蛇が群がる包帯少女。



 この光景。

 ふうか自身には見えていたのだろうか?


 「あなたの見ている夢は?」程度の質問から、かようなシーンを(見事に)誘導したGMの手腕には、まさに脱帽である。



 恐るべきは、GMの妄想力。

 恥ずかしながら、妄想力には自信のある私も、



 銀造:「(スカウターを起動しつつ)ところで、妄想力はおいくつですかな? ちなみに、オラは少なく見積もっても1318ですが」


 GM:「フッ! 私の妄想力は、58万です」


 銀造:「(スカウターが吹き飛ぶ)ご、ごじゅう……はち……まん……だと……!!」



という展開を考えずにはいられない。


 妄想力58万とか、マジでパネェ……!!


 そんな妄想力を持つGMが告知する新展開に期待しつつ、次回に続く!

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