ACT09 プリプレイ 『いや、ボスの方がカッコイイでしょ?』

劇辛党:じゃあ、あとは男二人だね。まずは、寝落ちリア充。[経歴]からね。


寝落ちリア充:うん。……(コロコロ)……。


劇辛党:[救出]。「あなたはオーダーの人体実験を行っている研究所から救出されてガーデンに所属した」らしい。


下げ友:人体実験、キターーー!!


腹黒演劇乙女:カッコイイじゃん! それだよ!


寝落ちリア充:えー……(不満げ)。


時間をかける少女:人体実験って、こわっ!


下げ友:『仮面ライダー』みたいだな。


腹黒演劇乙女:カッコイイよね!? それで、私のPC②が「助けたよ!」。 ホラ! 話が繋がった!


寝落ちリア充:うーん……(不満げ)。


腹黒演劇乙女:あ、イヤ?


寝落ちリア充:うーん……何か、カッコ悪い気がするけど。……まあ、それでいいかな。


腹黒演劇乙女:カッコ悪くないって!


劇辛党:じゃあ、[救出]でいいのかな? じゃあ、「コンピューター+5%」。


腹黒演劇乙女:「コンピューター+5%」だって(笑)。


寝落ちリア充:え? コンピューター? だって、僕のキャラってあんまりコンピューターに関係なさそうだよ? じゃあ、違うのがいいかなぁ。


劇辛党:やめるのかよ!? マンチすぎるわ!!


一同:アハハハハーーーー!


劇辛党:まあ、それじゃあ、もう1回。


寝落ちリア充:だってねー。ホラ。肉体派のキャラにする予定だから。……(コロコロ)……。


劇辛党:[復讐]。「あなたは大切な人をネフィリムに殺された。その仇を討つためにガーデンに入った」だって。


寝落ちリア充:ん? 『ネフィリム』ってボス的な感じなの?


劇辛党:いや、バケモノ全体のことを『ネフィリム』って言うから。別にボスとは限らないよ。


寝落ちリア充:じゃあ、ボスもザコも同じ『ネフィリム』なんだ。


劇辛党:そうそう。ああ、「仇のネフィリムがボスだったら強くてヤダな~」みたいな?


寝落ちリア充:え? いや、「仇のネフィリムは、ボスだった」って方がカッコイイでしょ?


一同:マジか!?


劇辛党:ほー……。わかった。超強力なネフィリムが仇ってことで(凄笑)。




 この時、全員の脳裏には、以前プレイした『ドラゴンアームズ改』において、寝落ちリア充が漏らした余計な一言(略して妄言)から、とんでもない強さのラスボス通称“ブラックナイト”(お父さん)を生み出してしまったことが鮮明に思い出されていた―――。




下げ友:ちょちょ、ちょっと待ったぁぁぁ! って寝落ちリア充! ナニ余計なこと言ってんだ!


劇辛党:いや、せっかくリクエストがあったもんだから、ブラックナイトばりの相手を用意してやらなくてはと……。


下げ友:もういいよ! っていうか、俺が謝ります。ゴメン!


腹黒演劇乙女:悪かったから、やめて~。


時間をかける少女:やめてほしいんだけど~。


寝落ちリア充:僕だって、別に、そんな相手を用意して欲しいなんて言ってないよ?……(←言ってましたけど)。


劇辛党:……わかりました。では、[復讐]でOK?


寝落ちリア充:うん。[復讐]で。


劇辛党:大事な人がネフィリムに喰い殺され……って勝手に決めてるけど(笑)。


腹黒演劇乙女:勝手すぎる~(笑)。


寝落ちリア充:やめてー(笑)。


下げ友:まあ、[復讐]ってそういうもんだからなー。


劇辛党:じゃあ、「追跡・逃走+5%」で。


寝落ちリア充:はーい。


劇辛党:で、誰を殺されてるの?


寝落ちリア充:うーん……。両親かなー。子供のころ、ネフィリムに襲われた時に、お兄さんと僕の二人は匿われたから助かったけど。


劇辛党:ああ、じゃあ、ネフィリムに殺されたのは家族なんだね。


寝落ちリア充:うん、そうだね。両親が殺された。そういうことで。


劇辛党:了解。じゃあ、次の[出自]。どうぞー。


寝落ちリア充:いくよー。……(コロコロ)……。


劇辛党:えーとね……[報道関係]。「親がテレビ局、新聞、雑誌社などのメディア関係の仕事をしていた」。『取得技能』は「捜索+5%」だね。


寝落ちリア充:捜索かぁ。それは使いそうだね。じゃあ、それで。


腹黒演劇乙女:捜索は使えるもんねー。


劇辛党:結局、そういうことで選ぶのかよー。まあ、いいや。次は、[経験]だね。


寝落ちリア充:とりゃ。……(コロコロ)……。


劇辛党:[研究員]。「研究員や技術者として働いていた」。


寝落ちリア充:研究員か技術者? どうなるの?


劇辛党:特技として〈※メカトロニクス〉がもらえる。「特殊機械操作+30%」になるね。


寝落ちリア充:え? 30%もプラスされるの? じゃあ、これにしようっと。何か、こういう変わった技能のところって、もともと成功率が低いし。


劇辛党:そうだね。


寝落ちリア充:ところで、特殊な機械ってどういうヤツ?


劇辛党:工場にある機械とか、重機みたいなヤツ。


寝落ちリア充:ああー、そういう感じの機械かー。変わったヤツだね。


劇辛党:そうそう。じゃあ、[境遇]だね。


寝落ちリア充:いくよー。……(コロコロ)……。


劇辛党:[トラウマ]だね。「思い出したくないほど、心に大きな疵キズを負っている」……って、これは、さっきの[経歴]を決めた時の「ネフィリムに両親が殺された」っていうヤツで良くね?


寝落ちリア充:確かに。ピッタリだね。じゃあ、それで。で、これの『取得技能』とかは?


劇辛党:ありません。


寝落ちリア充:えー? さっきまで、みんなもらってたじゃん。それ。


劇辛党:いえ、誰ももらってませんよ。


寝落ちリア充:うそ~? もらってたよね?


劇辛党:いや、もらってないって。(他のメンバーを見て)なあ。


時間をかける少女:あ! 私ももらってない!


腹黒演劇乙女:私も~!


下げ友:(キャラクターシート確認)え? 多分、俺ももらってない! っていうか、まだ色々決まってもいないけど。


劇辛党:いや、そういうことじゃなくて、[境遇]のところじゃ、全員、もらわないの!


一同:えーーー? ……(ルールブック確認)……ホントだー。




 もう少しマスターを信頼すべきである。


 とは言え、プレイヤーという存在は、常にゲームマスターの陰謀に晒され、虐げられているが故に、この様な心理状態になりやすいのも事実。

 よって、決して、自己の有利のみを求め、マスターにあらぬクレームをつけている訳では決してない、とだけは言っておく。


 つまり……えーと……。


 劇辛党! 軽く疑っちゃってゴメンね!(てへぺろ)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る