ACT04 プリプレイ 『えー! それくらいなら、私がやる!』

というわけで『特性能力』の選択である。

 異能モノをプレイするとなれば、やはり各々の中に眠る厨二魂ヒロイズムを炸裂させる良い機会である。




時間をかける少女:ねえねえ、どんな能力があるの?


劇辛党:そうだね。じゃあ、簡単に説明するよ。


一同:お願いしまーす!


劇辛党:えーとね……。





 ……おっとぉ!



 このまま劇辛党に『特性能力』について語らせていると書くのが……違った、読むのも大変なので、ここは仕方なく、私こと下げ友が適当に省略しておこう! イェイ!




 下げ友の「わかりやすい『特性能力』大全」!



①《発火能力イグニッションバースト》

 俺ってば、激しく燃えるぜぇぇぇぇ! ボーボー!


②《精神投影イメージリアライズ》

 気になるあの娘に暗示をかけるぜぇぇぇぇ! ククク……!


③《風候操作ウェザーキャスト》

 私の恋はハリケーン!! ビュービュー!  


④《電磁操作エレクトロニックダンス》

 そんなのウチが許さんぜよ!! バリバリ!


⑤《光波干渉オプティカルインタフェア》

 ん、レィザァーーーーヴィーーームゥゥゥ! ピカピカ! 


⑥《重力操作グラビティフォール》

 これで、健康診断は「痩せてます」に……ッッ! フワッフワ! 


⑦《感覚強化シックスセンス》

 ヤバイ、あの娘の心臓の音まで聞こえちゃう! ハァハァ……!


⑧《氷結能力フリーズバインド》

 とりあえず凍っとけ! ピッキーン!


⑨《物質転移マテリアルトランスレーション》

 何でもかんでも作るぜ? 壊すぜ? チュドーン!


⑩《身体強化リミットブレイク》

 殴ってダメなら蹴ってみろ! ムッキムキィー!




 こうして書いてみたところ、まとまらないうえに結構時間がかかったので、「わかりやすい説明をする」ということの大変さを知りました。ありがとうございました。Fuuuーーー!!





腹黒演劇乙女:あ! 《発火能力イグニッションバースト》だって! カッコイイ~!


下げ友:お! 「幻魔対戦」の東丈あずまじょうの姉さんの……。


劇辛党:「三千子みちこ」だ、「三千子」。


下げ友:最後に《発火能力》に目覚めたものの死んでいくという……。


腹黒演劇乙女:えー!? 何か不吉なんだけど。


劇辛党:大丈夫。死んだのは姉ちゃんだから。


寝落ちリア充:別に大丈夫じゃないよね、それ。でも、「火閻魔人」ができるかも。


劇辛党:まあ、できるよねー。


下げ友:えー、でもどんな能力なのかわからねー。


劇辛党:アホか! 『特性能力』の名前でだいたいわかるだろ!


下げ友:えー、でもどれが強いのか、とかさー。


腹黒演劇乙女:でも、だいたい同じくらいの強さなんじゃないの? どの能力も。


劇辛党:まあ、確かに全員『特性能力』の強さは同じランクなんですけどね。


寝落ちリア充:え? そうなの?


下げ友:まあ、確かにそうじゃなかったら揉めるわなー。


腹黒演劇乙女:じゃあ、全員、一番下のランクなの?


劇辛党:いや、5ランクからですね。全員。ちなみに一番下のランクは1。


時間をかける少女:じゃあ、結構強いね。


劇辛党:まあ、そうだね。


時間をかける少女:あ! 私、《風候操作ウェザーキャスト》やるー!!


劇辛党:ああ、風使いですか。主人公っぽいよね。


腹黒演劇乙女:えー? 風使いはさぁ。主人公じゃないよー。何か、イメージがブルーって感じだし。


下げ友:それは、アレだろ? 『仮面ライダー響鬼ヒビキ』の『威吹鬼イブキ』さんのイメージとかだろ?


寝落ちリア充:ああ、ラッパの人か。


下げ友:やっぱ、太鼓だろ? 主人公は。


劇辛党:どんな『特性能力』になるんだよ!?


下げ友:や。それは知らないけど。


時間をかける少女:でもさぁ。使える能力の《ストームブリンガー》とかさぁ。いいよね! 名前がカッコイイし!


劇辛党:確かにカッコイイよね。


時間をかける少女:じゃあ、《風候操作ウェザーキャスト》で!


下げ友:えーーー! 俺、《ストームブリンガー》とか、やりたかったのにィィィィ!


劇辛党:知らねぇよ!


時間をかける少女:もう、私がやるからね! 《風候操作ウェザーキャスト》!


下げ友:バーカバーカ!


時間をかける少女:黙れ!


劇辛党:まあ、《風候操作ウェザーキャスト》は《ウィンドバリア》とかあるから、遠隔攻撃からの防御力も高いよね。


時間をかける少女:やった!


劇辛党:じゃあ、取りあえず時間をかける少女は《風候操作ウェザーキャスト》ってことで。決定!


時間をかける少女:やったーーー!(ガッツポーズ)


下げ友:エーーー! 俺、まだ何にもわからないのにぃーーー。


劇辛党:知らねーよ! ルールブックでも見て早く決めろよ。


下げ友:いや、だからルールブックがないんだよ! っていうか、いい加減にしろよ! 俺が買った本だろ!? 俺にも見せてくれよ!


寝落ちリア充:ちょっと待っててー(ルールブック確認中)。


腹黒演劇乙女:私もまだ見てるからー(寝落ちリア充の横でルールブック確認中)。




 何ということか! 自分がなけなしの貯蓄の中から購入したルールブックであるにも関わらず、メンバー共有の本であるかのようになっているとは!!


 っていうか、むしろ下げ友の権利の方が弱く感じられるのは気のせいか。




下げ友:やっぱりわかりやすい能力は《発火能力イグニッションバースト》とかかなー。火閻魔人的な。


劇辛党:ああー。いいよね。火閻魔人。《発火能力》ってPC①な感じもするしね。


下げ友:で、誰がPC①をやるんだよ。


腹黒演劇乙女:えー? やっぱ、PC①と言えば男の子じゃない? 男子高校生。


下げ友:なるほど。じゃあ、俺がPC①をやっちゃっていい?


時間をかける少女:えーーー!?


腹黒演劇乙女:ヤダよー。


下げ友:「ば、バカなぁぁぁぁぁ!!」とか。


腹黒演劇乙女:何かさー。スゴイお約束みたいな展開になりそうでヤなんだけどー(笑)。


劇辛党:そもそも、そのセリフがPC①っぽくないわ!


寝落ちリア充:確かに。


下げ友:え、でも女の子でもいいんじゃないの? やるか。全員、女の子。


時間をかける少女:それは、ちょっと……。


寝落ちリア充:うん。


劇辛党:(ルールブック確認中)……ほう。オーダーになると、体のどこかに色がつく。らしい。


時間をかける少女:え!? どういうこと?


劇辛党:例えば、周りの子はみんな黒色の髪の毛なのに、能力が発現するようになると……。


下げ友:金色に輝く……! みたいな?


劇辛党:そうそう。


下げ友:「あの娘、髪の毛が透明になったよ!」


腹黒演劇乙女:えーーー?


時間をかける少女:めっちゃキモイわー!(笑)


寝落ちリア充:ハゲみたいじゃん。


下げ友:《身体強化リミットブレイク》やろうかな。番長キャラ。


劇辛党:ある意味、定番だね。で、誰がPC①やるの?


寝落ちリア充:時間をかける少女じゃないの?


時間をかける少女:え? 私? やるつもりはなかったけど。


寝落ちリア充:あ、そうなの?


下げ友:じゃあ、俺、PC①やろうかなー。


時間をかける少女:それはダメ!


下げ友:何でだよー。やらせてくれよー。番長キャラ。


時間をかける少女:えー!? それくらいなら、私がやる! PC①。ハイ、私、PC①!


腹黒演劇乙女:「それくらいなら」って(笑)。


劇辛党:じゃあ、時間をかける少女がPC①で。


下げ友:何でだよー。やりたかったよ、番長をさー。




 途中まで主役の座を掴みかけていた下げ友。

 しかし、時間をかける少女の心ない一言により、その座を追われることになってしまったのだった。

 まるで『ガラスの仮面』で「紅天女」を演じるために、稽古を積んで、オーディションを受け、審査員全員から高評価を得ていたのに、月影先生がいきなり北島マヤの方を選んじゃったよ! みたいな感じである(わかりづらい)。




劇辛党:じゃあ、PC②とPC③は?


腹黒演劇乙女:えっと、じゃあ私がPC②かな? 寝落ちリア充はPC③?


寝落ちリア充:うん。じゃあPC③で。


下げ友:え!? じゃあ、PC④しか残ってないじゃん! 何、この余り物感。


劇辛党:いや、ホラ。PC①を持ち上げる役だから。誰にでもできるもんじゃないよ?


腹黒演劇乙女:そうだよー。持ち上げるロールプレイは難しいからさー(棒)。


寝落ちリア充:ボクにはできないよー(訳:やりたくないよー)。


劇辛党:PC④は……下げ友。お前にしかできない(キリッ)。


下げ友:え、そ、そうかな……。


時間をかける少女:えー、私はさぁー……。


腹黒演劇乙女:シッッ!


一同(除:時間をかける少女):そうだよ!


下げ友:……仕方ねーな。じゃあ、やってやるか、PC④! 仕方ないからな!


腹黒演劇乙女:頑張れー(棒)。


時間をかける少女:じゃあ、ちゃんと持ち上げてよね!


下げ友:おう、任せておけ! 持ち上げるのは得意だぜ!




 主役の座を突然追われた私こと下げ友。

 その憤懣たるや、如何ほどのモノであるか、皆様にも言わずとも充分に伝わることであろう。


 しかし、私も日本男児である。

 私にしかできないロールプレイをしてくれ、と頼まれてしまえば、断るわけにはいくまい。


 ―――そう、脇役なくては主役は舞台で輝かないのである。

 さらに言えば、主役は脇役のためにある、と言っても過言ではない(かもしれない)。


 こうなったら、どんどん持ち上げてやるぜ!

 何てったって、PC④をできるのは俺しかいないんだからな!!(キメ顔)




 ……ってあれ?

 何気に『特性能力』って、時間をかける少女のヤツしか決まってないじゃん!

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