ACT18-② ミドルフェイズ 桃山クルミ&光影介 『甘い言葉を囁くのは悪魔だからね』

 前回のあらすじ。

 大型衣料品店へ行って、カメラマン用の服と助手の服、二人分を380円で買ったよ!

 安いね! お買い得!

 ガーデン、サイコーーー!





GM:というわけで、こうして上着もパチったから……。


影介:よし! ライブ会場に行こう!


クルミ:うん! 行こう!


GM:じゃあ、服装を変えてあるから、君たちはスタッフとかに「ああ、取材の方ですね」と会場の方に通されるけど。


クルミ:うん!


影介:良かったー。


GM:で、奥に行ってみると、もう本番真っ最中ですよ。


クルミ:遅れちゃったぁー。ん、ライブやってんの!? 『KJK』の子。


GM:うん。


クルミ:スゴイねーーー!(驚)


影介:だって、「ライブ会場へ行く」って言ってたじゃん。


クルミ:そうだけど。それは……つまり、何曲も歌ってるってコトなんだよね? 違う曲を。


GM:はい、そうですね。


クルミ:オリジナル曲ってこと?


銀造/KJK:(亜麻色の声で)「なないろの~♪ かみの……」


GM:(失笑)いえ、オリジナルではないです。それとそういう歌じゃありません。


クルミ:ふーん。どんな感じなんだろう。


銀造/KJK:(残酷な声で)「ざ~んこ~くな♪ きょじんの~ように♪」


ふうか:確かに残酷だったわー。アイツ。


GM:(再び失笑)いや、でも、そんな感じでもない。


クルミ:……で、私たちが聞いていて「何かおかしいなー」って思うことってあるの?


銀造:ああ! 音程が外れてるかどうかってこと?


クルミ:いや、もちろんそういうことではなくて。彼女の歌のせいでみんながおかしくなっているとかさー。……よくわかんないけど。


GM:……なるほど(ニヤリ)。


影介:あとは、その歌に魅入られたように……。


クルミ:そうそう、魅入られたようになってるとか、そんな感じのコト。


GM:いいでしょう。確認するんですね?


クルミ&影介:うん。


GM:では、あなた方は『KJK』のライブを、そういう観点で見るんですね?


クルミ:なんで、そんな念を押すのか、わかんないんだけどー。え? おかしい?


GM:だって、周りの人たちは「やっぱ、『KJK』ってかわいいよな!?」とか「あんな悲劇を乗り越えて……!」とか思ってるんですよ?


クルミ:だって、私たち記者なんだから、熱狂してたらおかしいでしょ!?


GM:まあねー。


ふうか:ねえねえ、その『KJK』ってどんな人なの?


GM:そりゃあもう! 清楚で可憐で、見るからに『KJK』って感じですよ!


銀造:最後の説明がよくわからんが、「清楚で可憐で」という部分はわかった。


ふうか:『KJK』……『奇跡の女子高生』だったっけ? ……私のことじゃなかったんだね!?


GM:はい。


ふうか:私のことだと思ってたよ!


一同:何でだよ!


クルミ:で、何かおかしいところってあるの?


GM:ハイ、ありますよー。


クルミ:あるんだ、やっぱり。


影介:どこどこ? あ! 今、ビデオカメラで撮影しているからねー。


GM:あ、撮ってるんだ。


影介:もちろん! そこはきちんとやってるよ。


GM:なるほど。抜かりありませんね。


クルミ:あれ? でも影介が持ってるのって「デジカメ」じゃなかったっけ? 「ビデオカメラ」じゃなくて。


影介:……(キャラクターシート確認中)……あ! 「デジカメ」でした!


銀造:何だよ! 抜かってるじゃん!


一同:(笑)。


影介:うーん……。デジカメでも動画、撮れるよね。


GM:まあ撮れるけど。


クルミ:短いけどね。


影介:だよね。まあ、歌声が入ってればいいから。短いけど撮っとく。


クルミ:そうだね。ちょびっと撮っとけば?


影介:じゃあ、デジカメで画像を撮っておくよ。


GM:了解。ムービー機能で、『KJK』のライブ画像を撮る、と。


銀造:っていうか、それならスマホで撮った方が良いんじゃない?


影介:そっか! スマホで撮っておこうっと。


クルミ:そうだよ! スマホ持ってるんだから、デジカメ要らないじゃん!


影介:だねー。


銀造:まあ、全部スマホで済ませるとか、カメラマンとして如何なものとは思うが。


影介:こんなことなら、アイテムでデジカメなんて買わなければ良かったよー。


クルミ:ホントだよ。アイテム欄に書いてあるから、私もついつい買っちゃったよー。デジカメ。


GM:さてさて。KJKの画像を撮る方は、〈銃器〉か〈飛び道具〉で判定を。


銀造:ああ! 抜き打ちでサッと撮る、みたいな?


GM:そうそう。奇跡のショットを撮れるのかどうか。


ふうか:なるほどね!


影介:僕は〈銃器〉が100%あるから、多分、余裕。……(コロコロ)……成功!


クルミ:私はどっちも30%しかない~。多分、ダメ。……(コロコロ)……失敗。


GM:「カシャ! カシャ!」。影介はマニアに紛れて写真を撮ることが出来ました。


銀造:ローアングルで。


GM:そう、ローアングルで。


クルミ:ちょっと、何の写真撮ってんの!? っていうか、結局、デジカメで写真撮ってんじゃん!


影介:あ! 確かに。


ふうか:っていうか、わざわざローアングルで撮る必要あるの!?


銀造:だって、「奇跡のショット」だから。な?


影介:まあ、僕はローアングルから写真撮るなんて言ってないけどね。


銀造:なんでだよー。撮れよー。ローアングルー。


GM:で、影介は、KJKの写真を撮ってみて気がつくんですよ。


影介:何に?


GM:何で、このKJK……背中に羽根が見えるんでしょうね?


影介:羽根?


クルミ:KJKってテレビにも出てるんだよね? テレビでは羽根が見えないんだよね?


GM:もちろん、見えませんよ。


影介:えーと、肉眼なら見えるの?


GM:見えませんよ。


クルミ:デジカメだと見えるの?


GM:全部の写真に写っているわけじゃなくて。写真を全部見ていくと……「コレとコレ、羽根が写ってる!」という具合に気がつくんですよ。


クルミ:なるほどー。そうなんだー……。


ふうか:心霊写真みたいだね。


GM:そうそう。そんな感じ。


クルミ:どんな羽根なの? 見えるのは。


GM:……背中の部分に、透き通るようなオレンジ色の羽根が。


影介:「オレンジ色!?」


クルミ:「どうしたの!?」


影介:「被っちゃった!」。僕の「瞳の色」もオレンジだから。


GM:そこかよ!? 大事なのは!


クルミ:じゃあ、影介が「被っちゃった!」とか言ってるのを聞いて、そっちの方をチラリって見て。影介に「見せて」って。


影介:「うん、いいよ」


クルミ:影介に渡されたKJKの写真を見て、小声で「……オーダー、ですね」


影介:「だね」


クルミ:「保護、しないと」……あ、オーダーでいいんだよね? こんなタイプのネフィリムってこともあるの?


GM:それはわかりません。


影介:普通はいないの?


GM:普通なら、こういうネフィリムはいない。ただ、ネフィリムのことはあまりわかっていないので。だから、わからない。


クルミ:そっか。でも、普通はわかりやすく、怪物とかなんだよね?


GM:そうそう。普通なら「超巨大なミミズ」とかそういうのがネフィリムに多いんですが。


影介:天使だ、天使。羽根あるし。


GM:天使ですよ。


影介:まあ「天使の歌声」だしね。……天使と見せかけた悪魔かもしれないけど。


GM:女子高生に厳しいね。


影介:甘い言葉を囁くのは悪魔だから……ね。





 ここに来て、いきなりキザなセリフをさらりと吐く影介(のプレイヤー)。


 このセリフを聞いて凍りつく銀造(のプレイヤー)。


 ゲスいセリフはいくらでも出てくるが、こんなセリフは思いつかない……!(思いついても口に出せない)


 リア充とはかくも恐ろしい生き物なのか……!


 リア充に対し、殺意を新たにした銀造(のプレイヤー)であった……。





クルミ:「彼女、一体、何をやっているの? 保護しなければ」


影介:「そうだね。保護しないと」


GM:……あなた方は、このデータをガーデンの解析に回すことが出来ますよ。


影介:じゃあ、「ガーデンの解析に回すか……」って。


クルミ:「そうですね。解析に回してもらいましょう」


影介:じゃあ、ガーデンに送ろうっと。


GM:どうやって送るの?


影介:スマホで画像の送信、出来るんでしょ?


GM:あ、ネット、使うんだ。


影介:あー、ネットだと拡散しちゃうかー……。


GM:拡散……!(笑)


影介:「ヤバイ! 漏れちゃった!」


銀造:何だよ、「漏れる」って(笑)。「漏洩」って言えよ。


GM:まあ漏れる心配とか別にして、〈コンピューター〉の判定を。


影介:うーん……50%。


クルミ:ホラ、《電磁操作》だから、ね。


GM:はぁーーー! バリバリバリ!


影介:いや、壊したらダメだから。それ。


クルミ:あ、バディだけど、《電磁操作》関係なかった。成功率が30%上がる《†エレクトロマグネティクス》はバディに使えなかった。


GM:《†バディエフェクト》はないんですか?


クルミ:えーと……「バディが行う〈回避〉判定に+20%」だって。使えないじゃん!


ふうか:確かに、それは関係ないわー。


影介:ハァーーー!(ダイスを握りしめる)


GM:いや、影介も何か使えるのないの?


影介:ありません!


銀造:変なトコだけ潔いなー。


影介:ハァーーー! ……(コロコロ)……よし! 成功!


GM:おお! 大丈夫! では、データが変な国に流出することなく、ガーデンに送ることができたようだよ。で、向こうできちんと解析してくれるようだよ。


影介:良かったー。


銀造/解析員:「うーん……。羽根があるねー……」


GM:それじゃ解析員、バカすぎだろ!


影介:確かに。


ふうか:ないわー。それはないわー。


GM:では、あなた方はKJKのライブを無事に楽しんでOKだよ。


影介:いぇーい!


クルミ:ねぇねぇ、それって、私たちまで大変なコトにならない?


GM:どんな風に?


クルミ:「あぁ~~~! 奇跡の歌声だぁ~~~!」ってなっちゃったり。


影介:幽体離脱しちゃったり。


GM:ああ。あなた方は心がそんなに素直じゃないから。


クルミ:えーーー!?


影介:ひどっっ!


GM:でも、見てると、そんな感じで「……KJK、サイッコーーー!」って。


クルミ:なる人、いるんじゃん!


GM:なる人もいるよ。周りを見てると。


クルミ:あー……そうなんだー……。


GM:何で君たちは、KJKを冷たい目で見るんだよ!? 「奇跡の女子高生」なんだよ!?カワイイのにー。


影介:だってコワイじゃん。羽根、生えてるし。


クルミ:うん、コワイよねー。


影介:あと、僕とキャラが被るから。オレンジ色で。


クルミ:被ったところにお怒りなのかー……(納得)。


影介:オレンジ色は、被っちゃいけない色だから。


銀造:心、狭いなー(笑)。つーか、誰が決めたんだよー。


GM/影介:「アイツ、俺とスペックカラーが被ったから、コロス」


ふうか:いくら何でも、それは言い過ぎでしょ!?(笑)


影介:まあ、僕が殺さなくても、いずれ誰かが殺すな……。


銀造:何でだよ!? っていうか、スペックカラーが被っただけで、そこまで発展すんのおかしいだろ!?


GM:という感じでこのシーンは終わりです。


影介:……KJKの人は、いずれ殺(以下略)。





 ……何ということか!


 「スペックカラーが被った」というだけで、天使の歌声を持つスーパーアイドル『KJK(奇跡の女子高生)』の暗殺を仄(ほの)めかす影介。


 ライブ会場での(主にローアングルからの)盗撮事件に飽き足らず、ついにとんでもない犯罪予告まで……!


 ガーデンはネフィリムから人々を守る組織ではなかったのか!?


 ここには悪のオーダーしかいないのか!?



 ―――“暁”こと光影介の真価が、今、まさに問われようとしていた。

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