ACT19 ミドルフェイズ 白井銀造 『ちょうど先生が一人、いらっしゃらなくなったようですから』
GM:では、次。PC④の白覚こと銀造さん。
銀造:は!
GM:あなたは、『悪夢のキャンプファイアー事件』の新聞記事を見つけて、高校に行くことにしました。
銀造:ああ。
GM:……あの、高校を卒業した後、一度も立ち寄ったことのない母校に。
銀造:あ、母校だったんだ。
GM:はい。
銀造:ああ、進学校の。
GM:え? そうなの?
銀造:まあ、学校の先生になるくらいには。
GM:ガーデンのコネで先生になったんじゃないの?
銀造:いやー、それはないわー。
GM:ないんだ。
銀造:ん? ……でも、《精神感応イメージリアライズ》の能力があれば、別に勉強が出来るとかできないとか関係なく、結構、何でもやれてしまう気が……。
影介:確かに。
GM:まあねー……。で、どうする?
銀造:んー……。学校に潜り込む?
GM:どんな方法で?
銀造:えーと……普通に学校に行って、校長先生に面会を求めて……。
GM:ほうほう。
銀造:あ、この高校って私立? それとも公立?
GM:公立。
銀造:そうか。では、訪ねて行って「……短期赴任で来た白井銀造ですが」というご挨拶を。
GM:なるほど。もちろん、そういう書類は持ってないよね?
銀造:うん、持ってないね。だから、そこは、ホラ、アレで。
GM:アレ?
銀造:《†ブレインウォッシュ》で!
GM:洗脳じゃねーか!
銀造:では、逆に聞くが、〈交渉〉で何とかなりそうなのか?
GM:なるわけねーじゃねーか!
銀造:では、予定どおり《†ブレインウォッシュ》で。というか、そういう時のためにこの能力チカラはあると言える。ここで、能力を確認しておこう。……(ルールブック確認中)……えーと「〈特性能力〉で判定。判定に成功すれば、シーン中、エキストラ1人を自由に操れる」。
影介:操り人形状態にできる……のかー。こわー。
銀造:しかし、このGMのことだ……。「残念! 校長先生はエキストラではありませんでした!」みたいなオチとかありそうだ……。
ふうか:あるわー、それ、あるわー。
GM:ないわ! っていうか、やってみればわかるわ!
クルミ:まあ、確かにー。
GM:では《†ブレインウォッシュ》の判定をどうぞ。
銀造:〈特性能力〉は100%あるし、ライフパスのボーナス+5%もあるから、105%もある。……(コロコロ)……普通に成功です。
GM:『疲労』のコスト払ってー。1点。
銀造:へーい。
GM:校長は、あなたの顔を見て、ぼんやりします。
銀造:「……というわけで、白井銀造です。……これから、と言っても、あまり長くないかも知れませんが、よろしくお願いします」
クルミ:《†ブレインウォッシュ》、コワイねー……。
銀造:フフフ……。
ふうか:何か、キモーイ。
GM:あ、このシーンだけだからね。《†ブレインウォッシュ》の効果。
銀造:え!? そうなの!?
GM:もちろん。
銀造:もしかして、次のシーンになると、あんなに優しかった校長が、いきなり「誰だ!?お前は!」とかってなっちゃうの?
GM:そうだよ。っていうか、さっき自分でルール確認してたじゃん。
影介:確かに、そう言ってたね。
ウカツ!
洗脳万能説を唱えていた銀造先生。しかし、そこには思わぬ落とし穴が……!
やはり、洗脳だけで世の中を渡り歩けるほど、世間は甘くなかったのだ。
《†ブレインウォッシュ》さえあれば、どんな一流企業にも就職は思いのまま! 的な出来事はなかったのだ。
地道な就職活動こそ社会人になるための第一歩であると思い知らされた一幕であった。
銀造:うーん……。そうするとー……校長先生に「……では、短期で雇用するという書類を書いていただけますか?」と付け加えよう。
ふうか:わるー。
銀造:「……ちょうど先生が一人、いらっしゃらなくなったようですから」
ふうか:それって、私の担任の先生のことじゃん!(笑)
GM:そうすると、校長先生は、ぼんやりとした様子のまま、「あなたが短期雇用された先生である」という書類を書きます。これであなたは、晴れてこの学校の先生になりました。書類上だけですが。
銀造:では、書類を書いてもらいながら、「……ところで、先日のキャンプファイアー事故の時に、無事だった生徒さんはいらっしゃるんですか?」と。
GM/校長:「ああ……無事だった生徒はみんな……某病院に」
銀造:某病院?
GM:ああ、病院の名前はきちんと教えてくれますよ。
GM/校長:「ああ……何で、こんなことになってしまったんだ……!」
銀造:「……ですよねー」
GM/校長:「あと……あと……半年、無事に勤めれば……!」
銀造:「……本当ですよねー」
クルミ:何か、かるッッ!
GM:心こもってないなー(笑)。
銀造:イヤイヤ、そんなコトないって。……で、生き残った生徒の名前とか教えてもらえるの?
GM:うん。
銀造:「……なんという方なんですか? その生徒さん」
GM:そうすると、校長は数人の名前を挙げますね。
銀造:ん? 数人?
GM:はい、数人。
銀造:えーと……みんな同じ病院に入ってるの?
GM:はい。
銀造:ちなみに……(ふうかを指して)この人も入ってるの?
GM:はい。もちろん。
ふうか:そうなんだ。入院かー。
影介:まあ、そりゃあ、そうでしょ。大火傷だし。
GM:ですね。
銀造:「……あ、校長先生は、生徒さんたちにお会いしましたか?」
GM/校長:「いえ……」
GM:あ、すみません。〈交渉〉を。……って言ってもどうせ100%なんだよなー。
銀造:……(コロコロ)……成功っす。
GM:いいでしょう。そうすると、校長は「なぜ行かなかったんだろう?」と疑問に感じている様子だということがわかります。
銀造:「……そう、ですよね」と。あ、そう言えば、この校長先生って、最近、この学校に来たってことでいいのかな?
GM:ああ、銀造が在籍当時にいたかどうかってこと? それなら違うよ。最近だね。
銀造:そっか。でもまあ、この校長先生から聞くことはこのくらいかなー。これ以上ってなると、お小遣いをせびるくらいしか……。
GM/銀造:「センセー、職員室の金庫、開けてもらっていいですかねー?」
ふうか:ちょっと! ナニやろうとしてんの!?
一同:(笑)。
銀造:まあ、それはやらないけど。
GM:やらないのか。
銀造:「……まあ、不幸な事故ですよね。……事故だといいんですけど」と言って、この場を去ることにしようかな。病院に行かなければ。
GM:おう。
銀造:早く、病院に行こう! 空、飛んで。
ふうか:え!? 空、飛べるの!?
銀造:イヤ、飛べないけど。
GM:そりゃ飛べないよね。《風候操作ウェザーキャスト》じゃなくて《精神感応イメージリアライズ》だし。
銀造:ところで、何で校長先生は病院へ行っていないんだろう。そのあたりはわからないの? この場所から去る前に聞いておきたいな。では、去り際に「……最後にもう一つ。……校長先生は、誰かに『病院へは行くな』とか言われたんですか?」と聞いてみよう。
GM:……いいでしょう。〈観察〉を。
銀造:〈観察〉か。……む。39%しかない。
クルミ:だから、〈観察〉は大切だって!(←90%の人)
銀造:うーむ。じゃあ、ここは特性能力使っておこうかな。
GM:ほう、何を?
銀造:《†サイオニックパワー》だね。《精神感応イメージリアライズ》の効果の範疇であれば、使用する技能の成功率に+30%。相手の心理的な動きとか見つつ……ってことで使ってもいいよね?
GM:いいでしょう。ではコストの「疲労1点」を支払ってから判定を。
銀造:とは言っても69%かー。ちょっと厳しいけど。……(コロコロ)……よし、成功。
GM:了解。そうすると、校長は「なぜ……」と言って、少し考え込んで「行かない方がいいんだ……。行けば問題になる。……そう、教えてくれたんだ」と。
銀造:「……誰が、教えてくれたんですか?」
GM:校長は、誰なのかは思い出せないようだね。
銀造:そっか。うーん……、これは話さないんだけど、自分の能力と同じ能力を使われたかもしれないってこと?
GM:そうです。
銀造:そうかー……。行けば問題になる、かー。じゃあ「……まあ、そうかも知れませんね」と。これ以上、聞き出そうとしてもムリっぽいよね。
GM:まあ、そうですね。もっともしつこく聞けば別でしょうけど、「誰にやられたかわからない」っていうのが基本ですよね。もちろんあなたが《†ブレインウォッシュ》で洗脳する時も同じことをしているんでしょうけど。
銀造:確かに、そうだね。「……じゃあ、校長先生、これからまた、よろしくお願いします」と重ねて挨拶しておこう。
GM:了解。
銀造:よし! 病院へ行こう!
ふうか:おー!
銀造:イヤ、お前はすでに病院にいるんじゃないのか!?
GM:ですよねー。まあ、わかりませんけど。
影介:いや、そこはわかってるでしょ(笑)。
GM:まあ、次のシーンでわかりますよ。
ふうか:次は、いよいよ私の番だね?
GM:そうですね。PC①の登場です。
ふうか:よぉーし! ……あ、その前にトイレ行って来るわ!
銀造:あんまり女子が声高に言うセリフではないと思うのだが……。
というわけで、次はいよいよ本編の主人公“風見鶏ふうか”サンの出番である。
オープニングシーンで大火傷だけなく、背中まで抉えぐられていた風見鶏サン。
正直、どんな有様になっているのか周りは興味津々である。本人は忘れているかも知れないが。
果たして、一体、どんな有様になっているのか?
……トイレが終わるまで、しばし待て!
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