ACT20 ミドルフェイズ 風見鶏ふうか 『うーんじゃあ、「普通」くらい?』
GM:では、PC①のふうか。
ふうか:はい!
GM:あなたは、気がつくと、耳元で「ピーッ。ピーッ。ピーッ」という定期的な電子音が聞こえているよ。
ふうか:うん。
GM:あなたは、病院のベッドに寝かされていて、体にはそこら中に管(くだ)が付けられている。
影介:管?
GM:そう。管。点滴とかの。
ふうか:じゃあ……、取りあえず起きようとする。
GM:了解。では、周りに人がいるかどうか。
ふうか:! あ、まずは目を開けて周りの様子を見てみる。
銀造:確かに。目も開けずにいきなり「ガバァー!」とか、ちょっと笑える。
影介:確かに(笑)。
銀造/看護師:「メディーーーッッック! メディーーーッッック!」
一同:(笑)。
クルミ:アホすぎるねー。
銀造:まあ、そういう時って、たいてい体が固定されているから大丈夫だと思うけど。
GM:まあねー。で、ゆっくり目を開けると……病院の天井が見えて来て。で、自分はベッドに寝かされています。
ふうか:うん(仰向けになる)。
GM:あなたの体には、至るところに色々なチューブが取り付けられています。で、そこから点滴とか、その他もろもろの薬やらが投与されています。
ふうか:そっか。
GM:で、すぐ脇には、今、「ピーッ。ピーッ」と鳴っていた生命維持装置が取り付けられていて、あなたの心拍数とか呼吸数を計っています。
ふうか:周りには誰かいるの?(辺りを見回しつつ)
GM:あなたの周りには、誰もいません。
ふうか:えー? 何でー? じゃあ、起きてみる(起き上がる)。
GM:あなたは起き上がると、ゆっくりとキャンプのことを思い出すはずですが。
ふうか:キャンプかぁー……。
GM:あなたが咄嗟に体のどこかを押さえます。
ふうか:背中!?
GM:おお!?
銀造:つーか背中をどうやって押さえるんだよー? 難しいだろー?
影介:確かに。
ふうか:えー!?(背中に手を回そうとする)
銀造:回ってねーじゃん。
クルミ:あはは(笑)。
GM:まあまあ、背中で。で、その背中を押さえてみると、そこには?
銀造:まだ、ナイフが刺さった状態とか。
ふうか:それはないわー。っつーか、それじゃベッドに寝てられないし!
影介:確かに。
銀造:じゃあ、アレか。ナイフの柄の部分だけはなくなっているとか。
ふうか:こわっ! いくら何でも刃も抜けよ! 柄だけ取るとかあり得ないし!
銀造/医者:「(額の汗を拭きつつ)ウム。これで取りあえずの処置はしておいた」
GM:ヤブすぎるわ!
ふうか:ホントだよ!(笑)
GM:で、背中に手をやると……?
ふうか:え? どういうこと? 治ってるか治ってないかってこと?
GM:そうそう。
ふうか:うーん……じゃあ、「普通」くらい?
銀造:何だよ、「普通」って(笑)。
ふうか:だから、「普通」にぃー……。
クルミ:「一般人」くらい。
ここでいきなり出てしまった、ふうかの現代っ子に有りがちな会話感覚。
「最近、どうよ?」
「んー、普通?」
「昨日のクラスマッチどうだった?」
「んー、普通だったわー」
「でもさ、途中で保健室、運ばれてたじゃん」
「あー、普通に捻挫してただけ。普通に痛いし」
あれ? 意外と普通に会話が成り立つことが判明。いいのかー。便利だな。普通。
GM:では、背中に手を回すとズキリと痛みがわかるのかな?
銀造:それは手を回すまでもなく、背中が痛いのでは?
GM:いや、ずーっと寝ていたんだから。
銀造:なるほど。
GM:だから、目を開けて、寝たまま背中に手を回して……。
銀造:どういうシチュエーションなのか、さっぱりわからんけど。
影介:確かに。
クルミ:だって、背中を刺されてるんでしょ? 意識を失う前の最後の記憶だからね。背中、刺されたの。
ふうか:そうだよ! 気になるし、出来るよ!(背中に手を回そうとするが……)
GM:ベッドで体を反転させながら、背中に手をやると……どんな感じになってるの? というか、「普通」っていうのは?
影介:血がベットリ。
銀造:あー、どのくらい寝ていたのかによっても傷の状態が変わってくるのか。半年も寝ていたら治ってるだろうし。
ふうか:んー、ちょっと痛いくらいかな?
GM:なるほど。では、あなたは、その痛みとともに、あのキャンプの思い出が現実だったことを思い知るわけですね。で、あなたは手を見ると、手まで包帯でグルグル巻きになっていることに気づきます。……包帯の中の自分は一体!?
ふうか:何で?
影介:だって炎に包まれたんでしょ?
銀造:そうすると、肌とか酷いケロイド状になったりとかしているんですかね、やっぱり。
ふうか:ケロイド!?(驚)
銀造:そうすると、普通には戻らないよね。
GM:そうですね。
ふうか:え!? ウソ!? 顔も!?
クルミ:顔も触ってみなよー。
銀造:包帯でよくわからない!
クルミ:まあ、包帯が巻いてある段階でダメだよねー。
ふうか:(顔を触りつつ)顔も触ってみよう。
GM:包帯の感触だけだよ。
ふうか:グルグル巻きじゃん!(絶望)
GM:あなたは……家族のことを思い出す?
ふうか:うん。
GM:あなたは、大企業の娘として何不自由なく育ったはずなのに。あなたが目を覚ましても周りには誰もいないわけです。
ふうか:うーん。体を起こしてみようっと。
GM:元気だなー。
影介:確かに。元気すぎるね、このヒト。
GM:では、あなたはベッドで体を起こします。……〈観察〉を。
ふうか:〈観察〉!? えーと42%だ。
銀造:高いじゃん!
ふうか:高くないわ!
クルミ:だから〈観察〉は大事なんだってばー。
ふうか:だねー。……(コロコロ)……あー、失敗だよー。
GM:あなたは辺りをキョロキョロと見渡しますが、特に気づくものはありません。
ふうか:あー……(溜息)。
GM:あなたが起き上がると、そこは個室です。
銀造:金、あるからねー。
GM:しばらくすると担当の看護師が来て、「風見鶏さんの意識が戻りました!」と言いながら、慌ててあなたのところに走ってきます。
ふうか:うん。
GM/看護師:「具合は悪くありませんか?」
ふうか:「うーん……」
GM/看護師:「そうですよね。すぐにはわからないですよね」
ふうか:「ん?」
GM/看護師:「だって、風見鶏さん。あなたは一ヶ月も意識不明で……」
ふうか:「えー!?」
GM/看護師:「ごめんなさい。ショックを与えちゃいけないって言われていたんだけど。……あんなことがあったから、辛かったですよね?」
銀造:めちゃくちゃ傷口を抉ってくるなー。何なの? この看護師さん。
一同:(笑)。
GM/看護師:「何が……何があったの!?」
銀造/看護師:「そんなこと、言っちゃいけなかったのに!」
ふうか:「え? どんなことがあったんですか?」
クルミ/看護師:「いいの。どうか、寝ていて頂戴。お友達のことは……」って、何、やってんの!?(笑)
GM:で、あなたの頭には浮かんできますか? 無残な友達の姿が……。炎の巨人の姿が……。
影介:先生の姿が……。
銀造:先生ってどうなったんだっけ?
ふうか:背中刺した。私の。
クルミ:そうそう、先生が刺したんだよね。見えた時は(笑)
GM:ああ、そうだった! ファンブルでそうなっちゃったんだった。
銀造:報われねーなー。先生。
クルミ:話、わけわかんなくなってるよー。
ふうか:いや、先生に見えたけど、絶対違うってわかるでしょ! だって、その前に先生、死んじゃってるし。
銀造:まあ、そこはファンブルしているから気づけないと思うけど。おかしいけども。
GM:そうそう。せっかくファンブルしたんだから。
ふうか:えー!? あ、そうだ。看護師さんに聞こう。「背中の傷ってどうなったんですか?」
GM/看護師:「ああ、背中の傷。……刃物はちゃんとと抜けたけど、深い傷だったし……。あそこまでやられて内臓に損傷がなかったなんてね。先生も『見かけによらず頑強なんだな』と感心していましたよ」
ふうか:「あの、皮膚は……、皮膚は大丈夫なんですか?」
銀造:皮膚(笑)。っていうか、友達とかは心配じゃないんだ。
クルミ:それはそうでしょ? やっぱり一番気になるところは顔なんじゃないの?
影介:でもまあ、「顔」じゃなくて「皮膚」って言ってるけど。
クルミ:ホントだ(笑)。でも正直、友達がどうなったかよりも気になるでしょ? だって一生背負っていく問題なんだよ? どんな顔で生きていかなきゃいけないのか、心配だよね。
銀造:え? 化粧すればいいんじゃないの?
クルミ:ダメだよねー。それ。
GM:そうすると、看護師さんは言いづらそうに目を背けますが……。〈威圧〉か〈交渉〉を。
ふうか:〈交渉〉、やるよー。86%。来い来い……(コロコロ)……成功だよー。
GM:そうすると、看護師さんは顔を曇らせた後、「そのことは、これからゆっくり考えないと……。今日のところは……」と言って……。あ、【感覚】で判定をお願いします。
ふうか:【感覚】は14あるから、70%。
銀造:何だよ、【感覚】高いのかよ。
ふうか:そうなんだよー。うりゃ……(コロコロ)……あーーー! 何で失敗するんだよー! 73とか! あり得ないしー!(怒)
銀造:ざんねーん。
影介:惜しいねー。
ふうか:ねえ、ちょっとだけわかるとかないの? 惜しいんだよ!? 3%だけなんだよ?
銀造:失敗したけど「ちょっとだけわかる」とか、どんなゴネ方だよ(笑)。
GM:いや、この『ガーデンオーダー』の場合、親切なことに、ファンブルしなければ、判定に失敗したとしても、「ぼんやりわかる」とか「遅れてわかる」という具合になっているんだよ。
クルミ:そうなんだ。それは親切だね。
影介:いいね。それ。
銀造:まあ、確かに全然わからないとストレス溜まるからなー。
GM:と言うわけで、今、話をしている看護師さんの足下に「何か」がいた。
ふうか:え!?
GM:大きさは大体このくらい(両手で20cmくらいの幅を作って)かな。
影介:青虫。
ふうか:げー。
クルミ:えー、やだー。気持ちわるーい。
GM:そう蛇のような青虫のようなそんな影。ハッキリとどんな感じのものなのかは見えなかったからね。
ふうか:そっかー。
GM:もちろん、この病室にそんな生き物がいるわけはない、ということはわかってもいいですよ。
銀造:気のせいだよね、きっと。
GM:そうそう。その影は看護師さんの足下をすり抜けて、「シュシュ」っと。病室の入り口を抜けて出て行ったのが見えた気がするんですけど。
ふうか:「今、蛇みたいなのが出て行ったような気がしたんだけど……」
GM:そうすると、看護師さんは優しい微笑みを浮かべて「疲れているから……」と言って。
一同:(笑)。
GM:「でも、もう少し眠った方が……」と言って、点滴の中によく眠れる薬を入れてくれるよ。
ふうか:じゃあ、バーンて寝よう。バーンて。
GM:了解。では、眠りに落ちる前のあなたの脳裏に何が浮かびますか?
ふうか:うーん、じゃあ炎の巨人の姿かなー。
GM:では、あなたは、「炎の巨人がキャンプファイアーの中に立っている姿」を思い浮かべて眠りにつくんですね。
ふうか:うん。
GM:ゆっくりとあなたは眠りに落ちていきます。「ピーッ。ピーッ。ピーッ……」
影介:(やたら高い声で)「ピーーーーーーーッ!」
ふうか:時報かよ!?
銀造:さっきの看護師さんが生命維持装置を外したんじゃない?
ふうか:マジで!?
GM:いやいや、そもそもあなたは自分で呼吸とか出来ているから。生命維持装置を外しても問題ないけどね。
ふうか:そっかー!
GM:じゃあ、これでOK、シーンカットかな。次はPC③ねー。
影介:はーい!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます