ACT07 プリプレイ 『っていうか、失ってばっかりじゃん!』

劇辛党:みんな、キャラクターのイメージは湧いてきたかな?


一同:はーーーい!


劇辛党:あ、[ライフパス]を決めるよー。


寝落ちリア充:[ライフパス]って?


劇辛党:そのキャラクターがどんな[経歴]で『ガーデン』に所属することになったのか、とか。どんな生まれで、どう育ったのかとかだね。


時間をかける少女:あー、あれか。よーし、決めよー!


劇辛党:決めるのは……、[経歴][出自][経験][境遇]の4つだね。


腹黒演劇乙女:これもさっきと同じやり方で決めるの?


劇辛党:そうそう。ダイスの結果に従ってもいいし、自分で選んでもいいよ。まあ、ダイスを振ってみてイメージに合わなかったら振り直す感じでどうかな?


一同:いいでーす!


劇辛党:じゃあ、誰から……。


時間をかける少女:ハイ! ハイハイッッ!!(激しく挙手)


腹黒演劇乙女:相変わらず、返事、早いねー。


劇辛党:じゃあ、D100で。


時間をかける少女:10面体を2個振るヤツだよね?


劇辛党:そうそう。では、[経歴]からどうぞー。


時間をかける少女:いっくよーーー! ……(コロコロ)……。


劇辛党:あなたの経歴、それは……[防衛軍]。「あなたは防衛軍からガーデンに出向しているオーダーである」だって。


時間をかける少女:おおー。何か強そうだね!


下げ友:あれ、でも、時間をかける少女のキャラってPC①やるんじゃなかったっけ? まだ能力に目覚めていないヒト。


劇辛党:まあ、「両親がガーデンに出向している防衛軍の軍人」なら多分、大丈夫だけど?


時間をかける少女:そっか。なら……。


劇辛党:あー……。この[経歴]でもらえる『取得技能』は「銃器+5%」なんで、弓だと役に立たないね。


時間をかける少女:え、使えないの? じゃあ、やーだー!


劇辛党:あ、やめるんだ。


時間をかける少女:だって、役に立たないんでしょ? 飛び道具が使えるヤツがいい。


下げ友:何か、すげーマンチ臭いなー。


寝落ちリア充:確かにマンチ臭いね。


時間をかける少女:ハイハイハイ。黙って黙ってーーー! もう1回行くよーーー! ……(コロコロ)……。


劇辛党:[秘密結社]。「あなたは秘密結社から逃げ出し、ガーデンに潜り込んでいる」。


時間をかける少女:ねえ、それ、やだ!


劇辛党:ちなみに『取得技能』は「隠密+5%」。って……微妙。


時間をかける少女:ゼッタイ、ヤダ! もう1回。……(コロコロ)……。


劇辛党:えーと、[養護]だね。


時間をかける少女:[養護]?


劇辛党:ほう。……「あなたはオーダーであるために親に見放され、ガーデンに保護されている」。


時間をかける少女:そんなの、やだ! イヤだよ、親に見放されているとか……。いっそ、自分で家出したってことにすれば悲しくないかも……。うん! 悲しくない!


下げ友:何か、変な方向にポジティブだなー。


劇辛党:あ、でも『取得技能』として「特性能力+5%」がもらえるね。


時間をかける少女:え? それって、『特性能力』を使う時に便利ってこと?


劇辛党:まあ、そうだね。外れはないよね。


時間をかける少女:じゃあ、それにしようかなー。


下げ友:ん? でも、時間をかける少女のキャラ……PC①って「まだ目覚めていないオーダー」なんじゃなかったっけ?


劇辛党:そうだね。だから、この場合、これは、これから目覚めた後の[経歴]ということに解釈できるかな。


下げ友:えー、そうなん?


時間をかける少女:やったぁ! じゃあ、[経歴]は[養護]にする!


下げ友:えー!? じゃあ、俺もそれがいいんだけどー。


劇辛党:基本的に同じヤツは認めない方向で。


下げ友:マジかー。それじゃ、早く決めた者勝ちじゃねーかー。


劇辛党:ハイハイ。じゃあ、次は[出自]だね。どうぞー。


時間をかける少女:とぉーーー! ……(コロコロ)……。


劇辛党:えーと……[大企業]。「親が大企業の取締役」だって。


時間をかける少女:やったーーー!!


腹黒演劇乙女:やったー! お金持ちだーーー!


下げ友:あーーー。なるほどね。だから捨てられるのかー。


時間をかける少女:何で「なるほど」なの!?


下げ友:だって、考えても見ろよ。大企業のお偉いさんの子供が能力者ミュータントじゃねぇ……(両手を広げる仕草)。


時間をかける少女:はぁ!? 下げ友の言い方、すっごいムカつくーーー!


下げ友:いやいや、事実だから、さ。


時間をかける少女:ねえねえ、[大企業]だと、お金がいっぱいもらえるの?


劇辛党:いや、残念ながら、このゲームではそういうことはないよ。


時間をかける少女:そっかー。残念。


劇辛党:一応、「取得技能」は「交渉+5%」だね。


時間をかける少女:「交渉」か。でも、「交渉」って、きっと使うよね?


劇辛党:まあ、多分。


時間をかける少女:だよね。じゃあ、[大企業]で!


劇辛党:そして、[経験]。あなたがどんな経験をしてきたか。どうぞー。


時間をかける少女:いくよー。……(コロコロ)……。


劇辛党:[特殊部隊1]。「あなたは軍の特殊部隊にいたことがある」ってどんな学生だよ!?


腹黒演劇乙女:つよそ~。


劇辛党:で、ここでは『特技』がもらえる。


時間をかける少女:『特技』っていうのは『取得技能』っていうのとは違うんだね?


劇辛党:そう。『特技』っていうのは、それを持っていることでボーナスがもらえるんで、さっきまでの「技能+5%」とかとは意味合いが違います。


時間をかける少女:おおーーー。じゃあ、どんな『特技』がもらえるの?


劇辛党:あなたがもらえる『特技』は……〈※近接戦闘〉だね。


時間をかける少女:近接……。弓、使えないじゃん!(※実際には使えることが後に判明。イメージ先行でご立腹か)


下げ友:やったーーー!!


時間をかける少女:うーるーさーいー! 振り直すに決まってるでしょ! ……(コロコロ)……。


劇辛党:えーと、[鍛錬]。「警察、軍、道場などで、効果的な戦い方を学んだ」。お! 『特技』で〈※部位狙い〉がもらえる。


時間をかける少女:え? それってどんなヤツ?


劇辛党:このゲーム、戦闘でダメージを決める時に表を使うんだけど、そのチャートを1段階上げるか下げるかできる『特技』だね。外れはないと思う。


時間をかける少女:外れがないの!? じゃあ、それにする! 『道場』だね!


下げ友:[鍛錬]だっつーの。


時間をかける少女:ハイハイ。[鍛錬]、[鍛錬]。それそれ。


劇辛党:じゃあ、時間をかける少女のキャラの[経歴]は[鍛錬]だね。弓で狙って撃てぇ! というわけで、次は[境遇]。つまり、現在、どんな状況にあるのか、だね。


時間をかける少女:いくよー。……(コロコロ)……。


劇辛党:[喪失]。「あなたは大切にしていたぬいぐるみ、友人など、大切なものを失った」。


寝落ちリア充:ぬいぐるみかよ!


腹黒演劇乙女:両親を失ったんだね、きっと。


時間をかける少女:ヤダ! っていうか、失ってばっかりじゃん! もう1回……(コロコロ)……。


劇辛党:[記憶喪失]。「あなたは記憶を失っている」。


時間をかける少女:失いすぎだよ! もう1回……(コロコロ)……。


劇辛党:[転居]。「あなたは転居したことがある」。


一同:………。


下げ友:引っ越したから、なんだっちゅーんじゃ!


寝落ちリア充:確かに。


時間をかける少女:もー、お願い! ……(コロコロ)……。


劇辛党:[長期入院]。……お! これ、いいじゃん。「あなたは大ケガや病気などで長期入院をしたことがある」。


時間をかける少女:何がいいの!?


劇辛党:……うん。この[長期入院]か[喪失]あたりにしておいてもらえるかな。そっちの方がシナリオ展開、考えやすいんで。


時間をかける少女:そうなの? じゃあ……[長期入院]にしようっと。


劇辛党:じゃあ、時間をかける少女の[境遇]は[長期入院]で。……なるほど(ニヤリ)。


時間をかける少女:えー!? 何、ちょっとどういう意味なの!?


劇辛党:いえいえ、何でもありませんよ。さ、次に行きましょう。




 良からぬ表情を浮かべる劇辛党。

 劇辛党が何かを思いついた時、それは、たいていあまり良くないことを考えている。

 この時、劇辛党が何を考えついてしまったのか―――それは、後に明らかとなることだろう。


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