ACT01 プリプレイ 『ライトノベルコーナーにあるかも、です!』
---季節は少し遡る。
肌寒い土曜日の午後。
私こと下げ友は、(ちょっとした)都会に出かけていた。
なぜか。
巷で噂のバディアクションRPG『ガーデンオーダー』ルールブックを購入するためである。
現代異能アクションTRPG。
相棒バディとともに特性能力チカラで戦い、人類の天敵たる、未知の生命体“ネフィリム”から、世界を守る(はず)!
そんなアクション満載でヒロイックなゲーム(のはず)だ。
しかも定価は1600円とお手頃価格。
ついでにサイズA5でお手頃サイズ。
素晴らしい。
実は、発売直後に1冊購入していたのだが、どうしてもやってみたかったので緊急的にもう1冊購入することにしたのだ。
立ち寄った大型書店で取りあえず店内を回って自力で探してみたが見つからない。
まあ、そういうことは想定内である。
しかし、ふと見ると『検索システム』の端末が。そんなものもあるのかー。知らんかった。
世の中、実に便利になったものである。
早速、文明の利器たる検索システムで『ガーデンオーダー』を検索。
すると「在庫あり」の結果が。
「よし! つーか、何だよあるんじゃねーか」などと思って探してみたが、これがなかなか見つからない(約300秒)。
そこで私は、熟考の末、仕方なく最終手段に出ることにした(約60秒)。
レジカウンター前に行き、妙齢の女性(一番優しそうな人)に声をかけた(約300秒)。
「(コホン)あのーすみません。検索システムに在庫のある『ガーデンオーダー』っていうのを探しているんですがー」
「ア、ハイ。(確認中)えーと? ライトノベルコーナーにあるかも、です」
「あ、そうなんですか?(さっき探したけど……)」
小走りにライトノベルコーナーへ向かう店員さん。
つられて私も小走りに後をつけていく。
「うーん……ありませんねぇ……。あ! もしかしたら、ゲームの攻略本コーナーにあるかも、です」
「あ! そうなんですか!(それは考えなかった……)」
店員さんとともにゲームの攻略本コーナーへ小走りで到着。
2人で探してみるが見つからない。
「もしかして、ないんですかね?(諦めるか……)」
「あ、いえ。絶対にあるはずなんで……、もう1回、在庫とか調べてきます!」
「じゃあ、こっちは別のところにあるか探してみますね(今さら断れん……)」
私がそう言うよりも早く、店員さんはバックヤードの方に小走りで消えていく。
そこまでやってくれる以上、私も必死に探さざるを得ない。
ライトノベルコーナー、コミックコーナーなど、グルグルと回り続けた(約1200秒)。
回りすぎてバターになってしまうかと思われたそのとき。
「お客さーーーん! ありましたよーーー!」
満面の笑みで走ってくる店員さん。女神か!?
そして、その手には確かに『ガーデンオーダー』が。
やっぱり女神か!
「すみません、お待たせしちゃって。これですよね?」
「そうです、そうです。わざわざありがとうございました」
「いえ、本当にすみません」
「あのー、ところで、どのコーナーにあったんですか?」
「ハイ。『演劇コーナー』にありました!」
なんでやねん!
でも、まあ、わかるような……。
閑話休題。
といういきさつで手に入れた2冊目の『ガーデンオーダー』。
ククククク…………。
やっとの思いで「それ」を手にした私は、当日の夕刻から開催されるゲームサークル『グリップダイス』の定例会に臨むのだった……。
------あ。
部屋の掃除が全然してないぜ!
このままじゃ、アレがアレになったままだ!
そしたら、アレが見っかって、ピーなことになってまうよー!
やばい、ヤバイよ、俺!
取りあえず、押し入れの中に入れるんだ!
急げ、俺!
小走れ、俺!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます