閑話:フェンへの手紙

 「ヘイ、ジョーン、どうしたんだい? 元気が無いじゃないか~」

 「Oh,スティ~ヴじゃないか。

   いやぁ、今ランキング上位を狙ってるんだけど、なかなか思うようにいかなくて」

 「HAHAHA!そんなときはどっかの村から副村をパクってくればいいのさ!」

 「でもスティ~ヴ、僕はそんな敵を作るような真似をして戦争とか真っ平ゴメンなんだ」

 「そんなときはコレがお奨めさ!」

 「ペロッ……こ、これは……進研ゼミ!?」

 「何をいってるんだジョーン? これは超廃村の全く新しいサービス、副村プレゼンツさ」

 「副村プレゼンツ!? もっと詳しく教えてくれ! このとおりだ!」

 「HAHA、 分かったからそのナイフをしまってくれないか?オレは先端恐怖症なんだ。

  暇をもてあましている超廃村が、君のために指定した座標でおいしい副村を作ってくれる、

  まぁ、要約するとそんな感じさ!」

 「な~るほど、あとは、適度に200人くらいに育ったあたりでその副村を貰えばいいんだね!」

 「そのとおり、だから銃口をこちらに向けるのはやめてくれないかジョーン?

  しかも今なら先着一名で無料だって話さ。素晴らしいだろ?」

 「こいつぁいいや!早速申し込まなきゃ! サンキュー、スティ~ヴ!」

 「HA……、だったらすまないが救急車を呼んでくれないか?」


                          by Lv9廃村・プレイヤーさん  』



 唐突にプレイヤーさんから届いた手紙を見て、フェンは頭を抱えていた。


「なんだこの手紙は……何か裏があるのか? どう思う?サク。なんかすごくムカつく手紙だけど」

「いや……すまない、全く理解できない。暗号文に見える……」

「っていうかスティ~ヴって誰だよ、スティーブでいいだろ、ジョーンも何者だよ、何この危険人物」

「なにやら大変なことになってるなスティ~ヴ殿」

「これってアレかな、こういうサービス開始したから使わないと攻め滅ぼすってこと?」

「……文面どおりなら一方的にメリットを押し付けようということか?……分からない、どういう戦術だ」

「一体何を考えてて、何がしたいんだあの雪だるまはっ!?」

「ここは素直にどういう意味か聞き返すべきでは……」

「くそっ、舐めた真似をしてくれる……! 返事を書くぞ!」


 そして商談?が成立した。




  *



「ふ、ふざけすぎてませんか!? やることも突拍子も無ければこの手紙もなんなんですか!?」


 パネ子は、履歴からフェンへ送ったその手紙を読んだようだ。

 もちろん一度理解に苦しみ頭を抱えた。


「いやその、深夜に思いついて、TVショッピングとサスペンスドラマを交互に見てたらつい。……うわっ、深夜のテンションで書いてたせいか今見るとあんま面白くないなぁ……」


「何それ妙に器用ですね、って深夜のテンションにもほどがありすぎですっ!スティ~ヴさんに謝れ!」

「えー、でもほら、ユニークだろ?TVショッピングみたいで」

「売り物はケンカですか!? 買いますよ、私が!」


 村は今日も平和である。



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