閑話:お菓子作りの約束
「んぐ、うー、ずびばぜん、お洋服汚じてじまっで」
「いいのよ、洗えばすむことだし。ほら、チーンして」
シャロさんの胸元からだらーっと鼻水をひきつつ、差し出されたハンカチでと鼻をかませてもらいます。
「ぷは、うう、ほんと、すみません」
泣いたらスッキリしました。
「謝らなくていいわ。私たちの仲じゃない」
シャロさんが私の頭を優しく撫でてくれます。
しかしそれでは私の気が収まりません。
「いえその、それじゃ、お礼に何かさせてください。何でもいいです」
「えっ、そ、えっ……なな、なんでもいいの?」
「はいっ、なんでもです!」
勇者に二言はありません!
「本当に何でもいいのね? 私、取り返しのつかないようなこと頼んじゃうかもしれないわよ?」
「あ、えと、あまりお金がかかったりするのは無理かも……」
すいません、二言、少しありました。
シャロさんは、顔を赤くして考えています。
い、一体、なにを考えているのでしょうか……?
あ、深呼吸してます。
少し落ち着いたみたいです。
「……じゃぁその、いいかしら?」
「はいっ」
私は待ち構えて聞きました。
シャロさんは、いつになく真剣な顔をしていました。
「もちろん、こ、断ってもいいのよ。よければ、良ければだからね?」
シャロさんの顔が、真っ赤になります。
「……つ……付き合ってください!!」
「はいっ、何にですか?!」
「………………えっ、その…………お菓子作り」
私はシャロさんとお菓子作りの約束をしました。
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