【03】街外れの丘にて
~翌朝~
少女「…………」
剣「…………」
少女「…………」
剣「…………」
…………
剣「あー、その、なんだ、少女よ。今日は街に呼び掛けるのではなかったか?」
少女「今日ね、ツルギさんと初めて会ったときの夢を見たの」
剣「……そうか」
少女「わたしね、実はこの街に一年前に来たばっかでね。ぜーんぜん、友達がいなくて。なんだか寂しくてたまらなくなっちゃって。あてもなく散歩に出掛けてみたの。……そしたら迷子になっちゃって」
剣「なるほど。それであのとき泣いていたのだな」
少女「うん。……今日夢で見て、そんなこともツルギさんには話してなかったなーって思ったんだ。わたし、知らないこともいっぱいだけど、教えてないこともいっぱいあるみたい」
剣「……ふむ」
少女「ツルギさん……わたしね。いっぱい、いっぱい知りたいけれど……同じくらい、いっぱいいっぱい、伝えたいよ……」
剣「……」
少女「わたし、まだまだ伝えきれないくらいツルギさんのことすきなんだよ……?街のみんなのこともだいすき……でも……もう……会えないのかな……」ポタ……ポタ……
剣「……十分伝わってるさ。おそらく、みんなもな」
◆
少女「……えへへ、らしくないね。笑顔笑顔!」フキフキ
剣「目が真っ赤だぞ。かわいい顔が台無しだ」
少女「えへへー。褒めても今日は何も持ってないよ!誰にも会わずに真っ直ぐここに来たからね!……あ、でも真っ赤ってかわいいかな?さくらんぼみたいでしょ?」
剣「そこまでは赤くない」
少女「そっかぁ……」パッパッ
少女「……」スゥーッ……ハーッ……
少女「さてと!」ギューッ
剣「どうしたのだ?私はぬけ……」
少女「わたしは、諦めないよ。最後まで、ツルギさんを引っ張る」
少女「みんなが逃げても、魔物がいっぱい来ても、引っ張り続ける」
少女「だからさ……」
少女「抜けてよっ……ねっ!」グッグッ
剣「己の意思で抜けられるならとっくに抜けておる。しかし……止めても、無駄なのだろうな」
少女「もち、ろん!!!!」ニカッ
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