【03】街外れの丘にて

~翌朝~


少女「…………」


剣「…………」


少女「…………」


剣「…………」


…………


剣「あー、その、なんだ、少女よ。今日は街に呼び掛けるのではなかったか?」


少女「今日ね、ツルギさんと初めて会ったときの夢を見たの」


剣「……そうか」


少女「わたしね、実はこの街に一年前に来たばっかでね。ぜーんぜん、友達がいなくて。なんだか寂しくてたまらなくなっちゃって。あてもなく散歩に出掛けてみたの。……そしたら迷子になっちゃって」


剣「なるほど。それであのとき泣いていたのだな」


少女「うん。……今日夢で見て、そんなこともツルギさんには話してなかったなーって思ったんだ。わたし、知らないこともいっぱいだけど、教えてないこともいっぱいあるみたい」


剣「……ふむ」


少女「ツルギさん……わたしね。いっぱい、いっぱい知りたいけれど……同じくらい、いっぱいいっぱい、伝えたいよ……」


剣「……」


少女「わたし、まだまだ伝えきれないくらいツルギさんのことすきなんだよ……?街のみんなのこともだいすき……でも……もう……会えないのかな……」ポタ……ポタ……


剣「……十分伝わってるさ。おそらく、みんなもな」



少女「……えへへ、らしくないね。笑顔笑顔!」フキフキ


剣「目が真っ赤だぞ。かわいい顔が台無しだ」


少女「えへへー。褒めても今日は何も持ってないよ!誰にも会わずに真っ直ぐここに来たからね!……あ、でも真っ赤ってかわいいかな?さくらんぼみたいでしょ?」


剣「そこまでは赤くない」


少女「そっかぁ……」パッパッ


少女「……」スゥーッ……ハーッ……


少女「さてと!」ギューッ


剣「どうしたのだ?私はぬけ……」


少女「わたしは、諦めないよ。最後まで、ツルギさんを引っ張る」


少女「みんなが逃げても、魔物がいっぱい来ても、引っ張り続ける」


少女「だからさ……」


少女「抜けてよっ……ねっ!」グッグッ


剣「己の意思で抜けられるならとっくに抜けておる。しかし……止めても、無駄なのだろうな」


少女「もち、ろん!!!!」ニカッ

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