STEP05:〈ろーどとぅはーぶ?〉
【01】街にて
八百屋「おっ、少女ちゃんじゃねぇか!今日もかわいいねぇ!いちごはいるかい?」
少女「是非是非!貰います!いつもありがとうございます!」
八百屋「いやぁ、少女ちゃんは野球んとき大活躍してもらったからな!これくらいこれくらい!」
少女「えへへぇ……あれ?今日は珍しくおばさんいないんですね?」
八百屋「あぁ……それが……どうも風邪で寝込んじまってな……薬屋にも行ったんだが、薬を切らしちまってるらしくてよ」
少女「ははぁ……それは大変ですね……ちょっとわたし、薬屋さんにお話し聞いてきます!」ピューッ
八百屋「え?お、おう……気をつけろよー!」
ピューッ(リターン)
少女「おばさんにはお大事にとお伝えください!」
八百屋「お、おう」
少女「それでは!」ピューッ
八百屋「……元気だなぁ」
◆
薬屋「お、少女か。野球以来だな。どうしたんだ?」
少女「こんにち、は、あの、ゼーハー八百屋さんのとこの、ゼーハーおばさんの、ゼーハー薬の、話、ゼーハーなんですけど……ゼーハーゼーハー」
薬屋「……とりあえず一旦休みな?」
◆
薬屋「どうやらあの風邪……風邪なのかもよくわかっちゃいないんだが、この街で流行っているようだ。死にはしないんだが、熱や咳がひどいらしい。それでいろんな奴がうちに来るんだが……とうとう昨日、薬の材料の薬草のひとつを切らしてしまってな」
少女「次の薬草はいつ来るんですか……?」
薬屋「ここらで手に入る薬草は東の方の小さな町がいろんなとこから採取して分類、保管、出荷してる。俺んとこもそこの商人から薬の材料を買っているんだが……次にこの街に回ってくるのは明後日だな」
少女「明後日……」
薬屋「一応ここらにもその薬草は生えてるらしいんだが、俺は調合専門で、薬草採取の知識まではなくてな。どこにあるのやら……」
少女「……!あの、その薬草、どんなのかわかりますか!?」
◆
少女「ということがありまして」
商人「それで私のとこに来たって訳か」
少女「前に薬草の知識もあるって言ってたような気がしたので……」
商人「私は世界中を渡り歩いているが、旅の道中で見つけた薬草はある程度採取してるし記録もしてある。この辺りも何度か通ったこともあるからひょっとすると、わかるかもしれないな」
眼鏡「……おかげで私もいらない薬草の知識がついた」
商人「いらないってこたぁないだろう。まぁいいや、その紙、見せてみな」
少女「ほんとですか!?えっと、はい!」
◆
商人「ルビーハーブだな」
少女「ルビーハーブ?」
商人「透き通るような赤色をしていることからそう呼ばれる。ルビーというのは赤色の宝石のことだ。もっと言えば湯に煎じて茶にして飲む人もいる。この茶の色も鮮やかな赤色でな。この茶の色が由来だという説もある」
少女「は、はぁ」
眼鏡「……商人、語りだすと止まんないから」
商人「あまりの美しさから観賞用としても使われるが、その効用も中々だ。最も効くのは喉らしいが大体の病気はこいつで和らげられる。すりつぶして塗れば外傷にすら効くらしい。…しかしハーブだからな、中々に染みる。流石にこっちの用途で使うやつはあまりいないな」
少女「止まんないね」
眼鏡「……私にいらない薬草の知識がつくのもわかる?」
商人「おっと。語りすぎたかな。とりあえずルビーハーブの自生条件は三つだな。ひとつ、温かい地域であること。ふたつ、日光がよくあたる場所であること。そしてみっつ。高度の高い場所であること」
少女「えっと……つまり?」
商人「君達のいつも行っている丘のもう少し向こうの方に自生しているはずだよ。丁度今は春だしね。……とはいえ元々大量に生えるものでもないから、少ししかないだろうが」
少女「…………ほんとですか!」
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