【09】街外れの丘にて
姫「準備はいーいでーすかー!!!!」
……「「「うぉぉおおおおお!!!!」」」……
少年「うわっすごい声量……」
眼鏡「……耳が、きーんって……」キョーカマホーキョーカマホー
商人「はっはっは。これも少女のアイドル力の力だな」
少年「アイドル力って……」
◆
少女「さぁて、ツルギさん、覚悟はいい?」
剣「流石にここまで多くの人間に引っ張られるのは初めてだが……いつでもよいぞ」
少年「よーし、いくよ?」
姫「いきまーすよー!さーん!」
……「「「にーぃ!」」」……
……「「「いーち!」」」……
……「「「うぉおおおお!!!!!」」」……
エーイ!サァー!ホーイ!サァー!
「これちゃんと引っ張ってんのか!?びくともしねぇぞ!?」
ビリッバチバチッビリッ……
「足下見てみろよ、魔法結界は破れかかってるぜ」
「うぉっ!マジじゃねぇか!よぉーし!このまま引けばいいんだな!いっくぞぉおおお!!!」
……「「「うぉおおお!!!!」」」……
◆
〈眼鏡の強化魔法!村人の攻撃力、防御力が倍加!〉
眼鏡「……キリがない」
怪盗「大変そうだねぇ」
眼鏡「……何やってるの?」
怪盗「見物かな。こういう泥臭いのは苦手なんだよ。そもそもボクはこの街の人間じゃないしね」
眼鏡「…………」ムッ
怪盗「まぁまぁ、そう睨まないでおくれよ。ボクはキミにこれを届けに来たんだからさ」キラン
眼鏡「……これは?」
怪盗「婚約ゆびwゲフッ」ドスッ
眼鏡「……これは?」
怪盗「いきなり蹴らないで欲しいなぁこわいこわい。眼鏡ちゃん意外と容赦が……ごめんごめん。それは魔法の全体化の指輪だよ。消費魔力もある程度抑えられる作りになっている。いいお宝だろう?それはちゃんと後で返しておくれよ?……そういえば前の指輪はどうしたんだい?ほら、魔力の……」
眼鏡「……まだ、使ってない」
怪盗「ふーん、そっか。つまんないな
。じゃあボクは他のとこも見回ってみるよ。体調の悪そうな人がいたら引き抜いておく。それだけでも役に立つだろう?」
眼鏡「……」コクン
怪盗「それじゃあね」
眼鏡「待って」
怪盗「……?どうしたんだい?」
眼鏡「……その、ありがとう」
怪盗「……ふふっ。どういたしまして」
◆
〈眼鏡の全体強化魔法!全員の攻撃力、防御力が倍加!〉
〈眼鏡の全体強化魔法!全員の攻撃力、防御力がさらに倍加!〉
…………
「これ、ほんとに強化魔法効いてんのか!?最初から変わった気がしねぇぞ!?」
「いいからひっぱれ!!!!」
「くっそおぉおおおおお!!!!抜けろぉぉおおおおおお!!!!」
……「「「うぉおおおおお!!」」」……
…………
メリッバリバリッビリッバチビリッ
…………
少女「ツルギさんっ…………!わたし……気づいたんだ……!」
剣「何に……だっ……」
少女「わたしね、今まで自分の思いしか背負ってなかった……!」
少女「わたしは、わたしのやりたいことしか背負ってなかった!わたしは、わたしの道しか歩いてなかった!」
少女「……でもそれじゃ、ダメなんだよね!」
剣「……」
少女「わたしね!今、最高に幸せなの!……わたしひとりじゃなくて!みんなの思いも背負って頑張ってる今が!」
剣「……」
少女「だから、わたしはわたしのためじゃなくて……みんなのために……街を守りたい……!わたしの見えてる世界をぜんぶ守りたい……!」
剣「……私は…………」
ビリッバチバチッビリッビリバチッブブッ
少女「いや、違うかも。……えへへ。ちょっとヒーローぶっちゃったかな……」
剣「……!」ビビビッ
少女「わたしは、わたしの道じゃなくて……わたしだけの道じゃなくて!みんなで、みんなの道を歩いていきたいの!」
少女「わたしだけじゃなくて!!!みんなごと、世界ごと、幸せにしたい!みんなで幸せになりたい!」
少女「ずっとずっと!みんなで一緒に歩いていきたいの!」
少女「たぶん、それだけだった!!でも!それじゃ……!!!!」
ビリッビリバチッビリビリッ
少女「それだけじゃ……ダメかな……?」
ビリッバチバチッビリッ……ズッボォォオオオオンッッッ!!!!
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