STEP08:〈シーフアンドシーフ〉

【01】商店にて

ワイワイガヤガヤ



少女「なんか騒がしいね」


少年「また泥棒騒ぎらしいよ」


眼鏡「……今度は民家まで被害に遭っているらしい」


少女「くろうさぎさんの仕業かな?」


兎「いやぁ違うんだなぁこれが」


少女「あ!怪盗さん!今日はうさぎさんの姿なんだね!」


兎「気分だよ、気分。というかもう驚かないんだね、少年くん」


少年「内心びっくりはしてますけどね。なんとか。まだこの街にいたんですね」


兎「まるでここにいてほしくないような言い草だなぁ。別に危害を加えたりしないからもうちょっとフレンドリーに接してほしいな」


商人「最近はうちの店に集まるのがブームなのか……?」


少女「だって最近暑いんだもん……」


少年「そろそろ春も終わるしねぇ」


商人「おいおい、少女ちゃんとツルギさんとやらの友情は夏の暑さに負ける程度だったのか?」


少女「暑い中でもツルギさんを抜くために修行してるよ!!!!大丈夫!!!!セーフ!!!!」


少年「別にセーフとかアウトとかはないと思うよ……」


兎「そもそもあの剣は暑くないのかな。刺さってる場所、割と日当たりよくなかったかい?」


少女「確かに……水とかかけてあげた方がいいのかな?」


少年「なんだか扱いがいよいよ墓石めいてきてるよ……」


眼鏡「……ツルギさんのとこに行くなら気をつけた方がいい」


少年「?どうして?」


眼鏡「……噂の泥棒、丘や森当たりに逃げたらしい」


兎「ふむふむ。それは大変だ。ボクが護衛についていってあげよう」


少女「泥棒ってほんとに怪盗さんじゃないんだよね?」ジトー


兎「そんな目で見ないでおくれよ。そもそもボクはお宝にしか興味がない。民家なんて漁んないよ」


少女「んー……じゃあ信じる!」


少年「単純だね……でもそこが少女ちゃんのいいとこなのかな?」


少女「それじゃ、行ってくるね!」


商人「あいさー」


バタバタ



商人「あの兎、お前なんかしたろ」


眼鏡「……魔力から音を作る魔法を教えた」


商人「お前は昔から変な魔法をいろいろ作ってるからなぁ。それもそのひとつか」


眼鏡「……」コクン


商人「あの泥棒は等価交換がモットーらしいが、代わりはその指輪か?」


眼鏡「……彼、かなりの魔装具使いだったから」


商人「魔法と魔装具はセンスがまた別なんだっけか?」


眼鏡「……そう。いろいろな魔装具の使い方も、教えてくれた」


商人「魔法の技術と魔装具の技術を交換したってことか。で、なんだ、その指輪。どういう魔装具なんだ?」


眼鏡「……召喚魔法。召喚魔法は魔装具か魔方陣が必須」


商人「ははぁん。しかし、ここじゃあまり役に立たなさそうだな。ここらは現状で安定してるんだ。魔族の類いは呼び出さない方がいい」


眼鏡「……わかってる。召喚魔法は、ロマン」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る