【SS】ろーどとぅゆーしゃ！

【03】商店にて

怪盗「なるほど、転移魔法。転移魔法ねぇ。……しかし魔界大戦に関しての情報は特にないんだね」

眼鏡「……そっちは？何か情報は特に持ってない？」

怪盗「そうだなぁ。……面白い話なら。勇者一行が行方不明なのは知ってるだろう？どうやら魔王の方も行方不明らしい」

商人「勇者も魔王も転移魔法をかけあったんじゃねぇのか？」

怪盗「勇者はともかく魔王の方はどこに飛ばされても目立つよ。他の魔物とは魔力が桁違いだしね。だから面白い話なんだ」

眼鏡「……変身魔法を、かけられた？」

怪盗「ほほう、なるほど。ボクとあろうものが、それは考えたことがなかったな」

ﾍﾟﾗﾍﾟﾗ

…………

少年「ねぇ、ぼくたちこれ場違いじゃ」ﾋｿﾋｿ

少女「少年くん、こういうときはとりあえず頷いておくんだよ。わかる気がするから！」ﾋｿﾋｿｳﾝｳﾝ

少年「意味ないよ……」ﾋｿﾋｿｳﾝｳﾝ

◆

怪盗「ふむふむ。あの剣に引っついていて正解だったな。面白い話を聞かせて貰ったよ。ありがとう」

商人「こちらこそ、だな。怪盗というから、最初はどんな危ないやつかと思ったよ」

少女「……」ｳﾝｳﾝｳﾝｳﾝ

少年「少女ちゃん、もういいよ」

怪盗「さてさて、ボクは等価交換を大事にしてるんだ。だから、商人さんと眼鏡ちゃんとやらのお話しにはボクの話で等価交換」

商人「怪盗が等価交換ねぇ……」

怪盗「ボクが盗む場合はそれなりの悪事を暴いたり、逆にその国に役立ちそうな情報を置いていったりしてるんだよ？いわばお宝は探偵料ってやつだね」

眼鏡「……今回のティアラは？」

怪盗「……元々返すつもりだったんだ。だから、ここまで連れてきてくれた少女ちゃん。キミには……」

少女「……？」ｶﾎﾟｯ

怪盗「これで等価交換だ。……うん。よく似合ってるよ」

眼鏡「……ティアラ」

少女「……！？！？えっ！？えっ！？落ちないかな！？落ちないかな！？」

少年「あわわわわ！暴れると落ちそうだよ！落ち着いて少女ちゃん！深呼吸！深呼吸！」

少女「……！わかった！……すぅー」

少年「ダメーー！！！！吸うときに背中を反らさないでーー！！！！落ちるぅーーー！！！」

商人「ありゃ、いつの間にやら」

眼鏡「……怪盗が、いない」

◆

少女「なんだか最近、怪盗からティアラを取り返した女の子だ！ってみんな褒めてくれます………」

少年「八百屋さんのいちごも心なしか増えたね」

少女「今日はりんごも入ってるよ！」

商人「しかし怪盗が等価交換とはねぇ。うさんくさい話だ」

眼鏡「……いちごおいしい」

少年「そういえば、ツルギさんのところに行くとツルギさんにはお花の王冠がかけられてありました。あれも等価交換なんですかね？」

少女「りんごってそのままかじっていいのかなぁ？」

眼鏡「……むこうにナイフがある」

少女「……眼鏡ちゃん、りんご剥けるの？」

眼鏡「……無理」

少女「ひとりでこれだけ剥くのかぁ……」

商人「ふぅむ。怪盗ねぇ。気まぐれなやつなのかもな」

少年「あれからパッタリ会いませんけどね」

怪盗「そうかい？」

少年「そうです……ってうわっ」

怪盗「そう驚くなよ、怪盗というのはいつだって神出鬼没なのさ」

少女「あーっ。怪盗さん、りんご食べる？」

怪盗「いただくよ」