【04】街外れの丘にて

剣「むっ。帰ってきたか」


眼鏡「……こうなるの、わかってたでしょう?」


剣「うむ。街からおぬしらがこちらに向かっておるのも感じ取れたのでな」


少女「え?知ってたら言ってよぉ!」


剣「言えばおぬしらは急いでペリュトンの元へ向かっていたであろう」


商人「そうなっていたら、少女達が襲われるのが早まっていた。正しい判断だ」


眼鏡「……感謝する。おかげで、間に合った」


兎「うんうん、間に合ってよかったよかった」


少年「おわっ!?」


兎「そんなにびっくりしないでおくれよ、傷つくだろう?」


少女「わぁ、怪盗さん。おひさしぶりです」


兎「うんうん。銘々、久方ぶりだね。さて、今日はここのみんなに知らせなきゃいけないことがあって来た。これでも全速力で向かってきた直後なんだよ?」


商人「そんなに急いで来たのか?何かあったのか?」


兎「うん、ありまくりだよありまくり。だから心して聞いてね。気絶しない準備はいいかい?」


少女「もったいぶらないでよ~」


兎「今朝、魔界領からこちらの人間界側に一体の魔物が出てきたんだ」


商人「それがどうしたんだ?魔物なら頻繁に出入りしてるだろう?」


兎「うん、確かに。正確にいえば一体どころじゃなくいろいろな魔物が出たり入ったりしている。でもね、問題なのはその魔物。今朝こちらに出てきた魔物の一体が"ゴーレム"だってことなんだ」


少女「ゴーレム?」


眼鏡「……魔王軍の、幹部」


商人「なるほど、そいつは穏やかじゃないな」


兎「それだけでも十分にバッドニュース極まりないんだけど、残念なことにこの話にはさらに続きがあるんだよ


少女「続き……?」


兎「ゴーレムの進路を追ってみるとね、真っ直ぐに南下しているんだ。もちろんその進路の延長線上には様々な街があるわけだけど……」


眼鏡「……目的が読めない、ということ?」


兎「まぁまぁ、眼鏡ちゃん、そう急かさないでよ。せっかちはモテないよ?……実はその進路の延長線上にはね。この街もあるんだ」


少女「えっ?」


兎「まぁ今のペースだと到着にはあと三日程度はかかりそうだけどね」


商人「ただ途中経路にこの街があるだけなんじゃないか?」


兎「そう、最大の問題点はそこなんだ。ボクにはあのゴーレムの目的地がここに思えてならないんだよ」


商人「……なるほどな。あのペリュトンも調査のために派遣されたということか」


兎「その可能性もあるね」


少年「で、でも何のためにこんなところに……?」


兎「盗賊のときもそうだし、今回もそうだ。ひょっとするともっと他にも原因はあるのかもしれない。キミ達は……いや、ボク達は。その勇者の剣。……ツルギさんの力を使いすぎたのかもしれないね」


剣「ふむ……つまり、何者かが私の魔力を感知し、私がここにいるということが魔物側に割れてしまった、ということか」


兎「そーゆーこと。いいかい?つまりね……」





兎「魔王軍は、"その剣"を狙って、この街に攻め込んでくるんだ」

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