【04】城にて
少女「わぁ……なんというか……すごい人達ばっかりだよ!」
少年「うん、なんというか、今までで一番の場違い感だね……」
眼鏡「……大丈夫、大丈夫」
少年「眼鏡ちゃん、こういうときはね、手に"人"の文字を三回書いてね……」
ドンッ
女「きゃっ」
少女「わっ」
女「いてて……ごめんなさい。大丈夫?」
少女「い、いえ!こちらこそ!大丈夫です。おねえさんも大丈夫ですか?」
女「ふふっ、大丈夫。お嬢さん、かわいいドレスだね」
少女「ありがとうございます!お姉さんのドレスも綺麗ですよ」
女「ふふっ、ありがとう。……君たちはお友達かな?今日は楽しんでいってね」
少年「は、はい!」
眼鏡「……」ペコリ
女「……あ!もしかして、君たちが少女ちゃんとそのお友達かな?」
少女「え?……はい!そうです!」
女「そう!あなた達が!ずっとずっと、一度会ってみたかったの!思ってたよりずっとかわいい!頭のリボンもすっごくキュート!」ギュー
少女「え?そ、そうですか?えへ、えへへ」
女「だって……そう!お姫様みたい!」
少女「えへへ……お姫様もいいかなぁ……」
少年「少女ちゃんの信念が揺らぎつつあるよ……」
眼鏡「……お姫様はロマン」
女「ふふっ。君たちも面白いね。お名前は?」
眼鏡「……眼鏡」
少年「少年です!よろしくお願いします!」
女「えっと……お薬のときも、このティアラのときも、街の盗賊を捕まえたときも君たちが頑張ってくれたんだよね。お城でも噂はよく聞いたよ。そうだ、私は――
司会「レディイィィィイイイイスエェェェエエン!!ジェェェエエエントルメェェエエエン!!……今日はさらにさらにぃ!!!!ボォォオオイズエェェエエエン!!!!ガァアアアアアルゥズ!!!!アーユゥレディッ?開会式を始めるぜぇぇぇ!!!!イェエアアアア!!!」スポットライトパシャアアアア
女「ふふっ、少し待った方がいいみたい」
少年「司会さん、テンション高いね……」
司会「イェエアアアア!!イェエアアアア!!さぁて!まずは!!!!我が街の王からの挨拶だ!イェエアアアア!!」
王「ふぉっふぉっふぉっ……今日は皆の者、集まってもらってありがとうの。礼を言うぞ」スポットライトパシャアアアア
パチパチパチパチ……
女「お父さん、もう何年も同じ挨拶なのよ」コソコソ
少女「……え?」
司会「そしてぇぇぇえええ!!!今日はなんとなんとぉ!!!お姫様も来てくださっているぜぇぇええええい!!!!イェエアアアア!!!」
スポットライトパシャアアアア
姫「ふふっ……」ペコリ
パチパチパチパチ……
「「……え?」」
◆
少女「おねえさん、お姫様だったんですね!かわいい!かっこいい!」
姫「ふふっ、ありがとう。私、魔法を習いたくて、いつもは北の方の学校に引き込もってるからこっちにいないんだけどね。たまたま城に帰ってきたら兵士のみんながあなたたちの話題でもちきりで!興味が止まらなくてつい招待状を出しちゃった」テヘペロ
少女「え?じゃあわたしたちを招待してくれたのは……」
姫「うん、私。今日は来てくれてありがとう!」ギューッ
少女「うぇへへ……うぇへへ……」
少年「ぼくたち、お姫様とこんなにフレンドリーに話してて大丈夫なんですか……?」
姫「ふふっ。大丈夫だよ。お話がしたくて呼んだんだからね」
◆
姫「唐突だったと思うけれど、いきなり招待しても大丈夫だったかな?」
少女「大丈夫です!ダンスの練習もばっちりです!」
姫「……へ?ダンス?練習したの?あははっ!いいね!面白い!」
少年「……もしかしてこのパーティ、ダンスないんですか?」
姫「あはは、あることにはあるよ。任意参加だけどね。練習までしてくれるとは思わなかったや。お手紙でも添えておけばよかったかなぁ。ごめんね」
眼鏡「……任意……参加……」
少女「練習は楽しかったから……大丈夫だよ……良い経験だよ……勇者には近づいてるよ……」
少年「近づいてるかなぁ?」
姫「ふふふっ、やっぱり君たち面白いね!せっかく練習してきてくれたのなら私、みんなのダンス見てみたいな。……でも三人かぁ。ええと……そうだ!私も混ぜて、一緒に踊らない?」
少女「えっ……!」チラッ
少年「……」コクッ
眼鏡「……」コクッ
少女「それじゃあ、お願いします!」
◆
姫「えっほんとに一週間であそこまで踊れるようになったの?」
少女「ひゃんばりまひた!」パクパク
少年「少女ちゃん……食べながら喋るのはよくないよ……」
少女「ひょーねんくんもひゃへてみなよ!すっほくほいひいよ!!!」パクパク
少年「いや、うん、食べるけどね……?」
姫「あはは、練習すごく頑張ったんだね。とても上手だったよ。私はそんなに上手じゃないから、すぐに追い抜かれちゃいそう」
眼鏡「……お姫様も、綺麗だった」
姫「そう言ってくれるのは素直に嬉しいなぁありがとう!」ギューッ
眼鏡「……えへへ」
少年「みんながお姫様のハグに懐柔されていく……」
◆
姫「ところで少女ちゃん、さっき勇者がなんとかって言ってたけれど、勇者を目指してるの?」
少女「はい!」
姫「ふぅーん。勇者かぁ……。うちの街、今年は……今年も、かな。まだ一人も冒険者申請していないはずから少女ちゃんを推薦してもいいよ?」
少年「えっ、冒険者申請!?」
少女「冒険者?」
少年「街は毎年、魔王に対抗する部隊として何人かを冒険者として認可することができるんだ」
少女「えぇと?」
少年「つまりね、冒険者になれば世界中どの街にも国にも出入りできるようになる証明書を貰えるんだよ!いろんなところを冒険できるようになるんだ!」
少女「えっと……なんか、スケールが大きい!」
姫「あはは、うちの街は魔界から遠いぶん魔物の被害も少なくてあんまり冒険者は生まれないからほとんど名ばかりの制度なんだけどね」
少年「確かに、冒険者になった人の話を聞いたことはないですね」
姫「良くも悪くも平和ボケしてるってことなのかも。……別に冒険者だからって危ないところに行かなきゃいけないってわけでもないんだけどなぁ」
少女「冒険者申請かぁ……」
眼鏡「……勇者に冒険者証明は必須」
少女「へぇ……」
姫「どうする?お父さんに話を通しておこうか?」
少女「えっと……少し、待ってもらっていいですか?」
少年「えっ」
姫「あはは。そうだよね。すぐには決められないよね」
少女「明日!明日、また返事をします!」
姫「うん、待ってるよ。門番には話を通しておくね」
少年(少女ちゃんのことだからてっきり飛びつくものかと思ってたんだけどなぁ……)
眼鏡「……このローストチキン、おいしい」
少年「眼鏡ちゃんもがっつり食べるね……ぼくにもチキンちょうだい」
眼鏡「……はい」
少女「あっわたしもわたしもー!」
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