【02】街外れの丘にて

少女「勝ったよツルギさん!!」ブンブン


剣「ほう、そうか。……バットを振り回すと危ないぞ」


少女「あっ……ツルギさん折れちゃうね」


剣「バットが折れる……そもそも当てないでくれ」


少年「勝ったのはよかったけどギリギリだったね……」


少女「勝ちは勝ちだよ!勝てたのはわたしたちのバッティングが完璧だったからだね!日頃の素振りや剣の練習の成果だよ!」フフン


剣「はっはっは、少年のおかげだな」


少年「少女ちゃんの才能でもありますけど」


少女「えっへん」ドヤァ


剣「少女、そういうときは謙遜するのだ」


少女「えー!?褒められたときは思いっきり喜ぶ方が楽しいよ!?」


少年「ははは……ツルギさん、少女ちゃんはこれでいいんですよ、きっと」


剣「確かに、そうかもしれんな」


少女「ところで今日はこんなものを持ってきてみたんだ!」キラーン


少年「スコップ?」


少女「引っこ抜かなくても周りを掘ればツルギさん出せないかなって」


少年「ずるくない?」


剣「ふむ。やってみるがいい」


少女「えーい!」カキィン!


少年「えっ、かたっ」カンカン


剣「私も伊達に勇者の剣ではない。刺さったときはその地点から半径5m以内の地表、地下に魔法結界が張られるようになっている」


少女「つまり……スコップじゃ無理ってことだね!」


剣「ズルをするような人間は勇者ではないということだな」


少女「ちぇーっ」



少女「燃えたり!結界張ったり!魔法ってかっこいいね!」


剣「街には魔法使いなどはいないのか?」


少女「うーん。わたしたちの街ではそんなに魔法は見ないかなぁ。……でも北の方に行くと魔法がすごい街があるらしくて、そっちから魔法道具の商人さんが来たりはするよ!たまに魔法を見せてくれるの!」


少年「うちの街は農作物と工場が主な産業だからねぇ。魔学より科学の方が発達してるんだよね。魔法学校に通いたい人は北の街に引っ越していくし」


少女「魔学の影響を受けているところほど魔物が出やすいらしい……ってお父さんが言ってたから私はこの街嫌いじゃないけどね!ツルギさんもいるし!」


剣「ふむ。なるほど。どうりで魔物の気配を全く感じないわけだ。しかし随分と遠くまで飛ばされてしまったらしい」


少女「ツルギさんは元々魔物が多いところにいたの?」


剣「というよりは魔界そのものだな」


少女「うへぇ……遠いね……すごい飛んだんだね……」


剣「飛ばされた、と言った方が正しいがな」


少女「さすがのわたしもここから魔界まではツルギさんは投げられないなぁ」


剣「期待しておらん」

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