【02】街外れの丘にて
少女「勝ったよツルギさん!!」ブンブン
剣「ほう、そうか。……バットを振り回すと危ないぞ」
少女「あっ……ツルギさん折れちゃうね」
剣「バットが折れる……そもそも当てないでくれ」
少年「勝ったのはよかったけどギリギリだったね……」
少女「勝ちは勝ちだよ!勝てたのはわたしたちのバッティングが完璧だったからだね!日頃の素振りや剣の練習の成果だよ!」フフン
剣「はっはっは、少年のおかげだな」
少年「少女ちゃんの才能でもありますけど」
少女「えっへん」ドヤァ
剣「少女、そういうときは謙遜するのだ」
少女「えー!?褒められたときは思いっきり喜ぶ方が楽しいよ!?」
少年「ははは……ツルギさん、少女ちゃんはこれでいいんですよ、きっと」
剣「確かに、そうかもしれんな」
◆
少女「ところで今日はこんなものを持ってきてみたんだ!」キラーン
少年「スコップ?」
少女「引っこ抜かなくても周りを掘ればツルギさん出せないかなって」
少年「ずるくない?」
剣「ふむ。やってみるがいい」
少女「えーい!」カキィン!
少年「えっ、かたっ」カンカン
剣「私も伊達に勇者の剣ではない。刺さったときはその地点から半径5m以内の地表、地下に魔法結界が張られるようになっている」
少女「つまり……スコップじゃ無理ってことだね!」
剣「ズルをするような人間は勇者ではないということだな」
少女「ちぇーっ」
◆
少女「燃えたり!結界張ったり!魔法ってかっこいいね!」
剣「街には魔法使いなどはいないのか?」
少女「うーん。わたしたちの街ではそんなに魔法は見ないかなぁ。……でも北の方に行くと魔法がすごい街があるらしくて、そっちから魔法道具の商人さんが来たりはするよ!たまに魔法を見せてくれるの!」
少年「うちの街は農作物と工場が主な産業だからねぇ。魔学より科学の方が発達してるんだよね。魔法学校に通いたい人は北の街に引っ越していくし」
少女「魔学の影響を受けているところほど魔物が出やすいらしい……ってお父さんが言ってたから私はこの街嫌いじゃないけどね!ツルギさんもいるし!」
剣「ふむ。なるほど。どうりで魔物の気配を全く感じないわけだ。しかし随分と遠くまで飛ばされてしまったらしい」
少女「ツルギさんは元々魔物が多いところにいたの?」
剣「というよりは魔界そのものだな」
少女「うへぇ……遠いね……すごい飛んだんだね……」
剣「飛ばされた、と言った方が正しいがな」
少女「さすがのわたしもここから魔界まではツルギさんは投げられないなぁ」
剣「期待しておらん」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます