STEP11:〈パニックの足音〉
【01】商店にて
ザワザワ……キャーッ……ガヤガヤ……
少女「なんだかまた騒がしいね?どうかしたのかな?」
少年「いつもよりさらにさわがしくない……?」
商人「いつかこの日が来るんじゃないかとは思ってたんだがな」
眼鏡「……付近で、魔物が現れたらしい」
商人「少女も危ないからしばらくはツルギさんのとこには行かない方がいいかもな」
少女「えーっ!寂しいなぁ……」
◆
少女「魔物ってあんまり見たことないなぁ……あ、でもスライムは見たことあるかな?今噂になってるのはどんなのなの?」
眼鏡「……今回目撃されたのは、ペリュトン」
少年「ペリュトン?」
商人「怪鳥だよ。シカに羽根が生えたようなやつだ」
少年「あんまり強くはなさそうですね」
商人「まぁ、単体ならそうなんだがな」
眼鏡「……ペリュトンは、群れを作る」
商人「目撃されたのは一体だけらしいが、複数うろついてると考えるのが自然だろう」
少年「その、ペリュトンというのは人を襲うんですか?」
商人「あぁ、襲う。あいつらは自分の影を持っていない。人を殺すことで影を得るんだ」
少年「影?ですか?」
眼鏡「……影は、魂と同義」
商人「地域によっちゃ人様の影を踏んではいけない、とか言うとこもあるしな」
少女「私の影にも魂が宿っているのかな?」ジーッ
商人「宿っているんじゃないか?きっとな」
少女「……よし!」
商人「"倒しに行こう!"とか言うんじゃないぞ?」
少女「うぇ、わかっちゃう?」
眼鏡「……少女は、単純」
少女「むー。でもみんなを困らせてるんでしょ?だったら!」
商人「きっと今頃は城の方でも騎士団のやつらが準備してる。こういうときのための騎士だろ?」
少女「むー。でもー。ほら、私だって鍛えてるし!冒険者にだってなれるんだよ!」
商人「今では魔界に近寄りすぎなければ街と街の間には安全なルートも舗装されてるからな」
少女「むぅ……」
商人「まぁ、確かに少女は頑張ってるからな。まともな武器があればペリュトンと対峙しても勝てるだろう。少年君も剣があれば数体相手なら十分戦える。それは一対少数の話だ。今のところ何体いるかもわかっていないんだ。群れを相手にするのは危険すぎる。そういうことなんだ」
少年「そもそも少女ちゃん、木刀しか持ってないもんね……」
少女「うぅ……わかったよ……」
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