【07】城にて
王「……なるほどの」
姫「えーっ!……じゃあ少女ちゃん、今も?」
少年「……おそらく」
商人「ということで、だ。王様、お姫様。この街の人間を逃がしてやってはくれないだろうか?」
王「ふむ……」
姫「勇者の剣って力業で抜けちゃわないの?」
少年「一応昔にそうなんじゃないかって感じの勇者はいたみたいですけど……山を崩す力を持ってたとかいう……」
眼鏡「……少なくとも、少女一人じゃ、無理」
姫「ふむぅ……そっかぁ……」
王「ゴーレムのう……」
姫「……ねぇ、お父さん」
王「なんじゃ?」
姫「今なら、どっちに賭けてみたい?」
王「何の話じゃ?」
姫「ほら、前に話したでしょ?少女ちゃんがあの剣が抜けるかどうかっていう」
王「……勇者の武具は使うべき人間に引き寄せられる。この伝承に間違いはないのだろう?」
眼鏡「……確かに、私の行っていた魔法学校にはそう書かれた文献は存在した」
姫「あぁ、それ、私も見たことがあるかも!」
王「ふむ……なるほどの……」
ダンッ!!!!
王「ならば、迷うことはあるまい!少女とその勇者の剣はこれ以上なく惹かれ合っておるではないか!!!!」
少年「……!」
眼鏡「……確かに」
姫「お父さん、杖を床に叩きつけるのはうるさいよ……」
商人「でも勇者はまた別にいるわけだろ?」
王「ふぉっふぉっふぉっ。しかしの、ワシにはそう……あの少女と勇者の剣には不思議な絆があるように思えてならんのだ。そしてそれを感じておるのは、ワシだけではないのではないかの?」
商人「まぁ、それは……確かにな」
王「ならば!ワシは抜ける方に賭けてみたい。抜けると信じてみたい。……私情も挟んでの話、だがの」
姫「政治に私情を挟むのは禁物だよ?」
王「ふぉっふぉっふぉっ……そもそも政治に賭けがご法度じゃわい」
姫「あはは、そうだね」
王「しかし、王がいるとはいえ国というものは民意が動かすものじゃな。そこのお主ら、ワシに異論はあるか?」
兵士B「……へ?俺らっすか?」
兵士A「えっ……と……ない……ですが……いいんですか?」
王「……ふぉっふぉっふぉっ。いつだって国は民の意思で動くものじゃよ。この話を聞いておる兵士諸君!!!どうじゃ!!!ワシに異論はあるか!!!!」
……「「「ありません!!!!」」」……
王「ふむふむ。よい返事じゃ。さて、城下の街の者達はどうかのう……」
少年「これは……」
商人「えらいことになったな」
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