【03】街外れの森にて
盗賊「げっへっへ。いまんとこ城の警備隊が少しは増えた程度でまだまだ余裕でさぁ」
親分「裕福そうな家庭を狙ったもんは怪盗黒兎ってやつを装って予告状も送ってるからな。俺たち盗賊の仕業だとバレちまってるもんが少ないのも効いてんのさ」
盗賊「うぇへへ、流石でさぁ」
兎「ブーッブーッ」
盗賊「おっ親分。話をしたらなんとやら。兎でさぁ」
親分「ふむ。丁度いいなぁおい。焼いて食うか。捕ってしまえ」
盗賊「へい!」
カキィンッ
親分「……どうした?」
盗賊「……親分、出れません。結界が張られているようでさぁ」
親分「結界ぃ?んなもんどこのどいつが張りやがんだ、そもそも俺らが入るときは……
兎「随分と好き勝手なマネをしてくれてるみたいだね」
「「あぁん?」」
ボワンッ
怪盗「はぁい、どうも。怪盗黒兎でーす」
盗賊「……!!親分、こいつ、怪盗でさぁ!」
親分「今そいつが名乗っていただろうが……あんたの名前を騙ったのが気に触れたか?」
怪盗「うん、許せないなぁ」カチャッ
盗賊「お、親分……あれ……銃ですぜ……」
怪盗「あはは、安心して。実弾は撃たないよ。撃てないわけじゃないけどね。ボクは基本的に召喚魔法専門なんだ。その洞窟の中で一晩一緒に過ごすなら何がいいかな?ドラゴン?ミノタウロス?……ユニコーンなんてのもあるけど。あぁ、どれを選んでもキミ達が翌朝を迎えられるかは保証しないよ」
…………
少年「あれ、絶対自分の名前使われたことにしか怒ってないよね」コソコソ
眼鏡「……おそらくそのために私達を利用した。わかっていたけれど、こうするのが一番安全だから」コソコソ
少年「あぁ、だから眼鏡ちゃん、さっき睨んでたのか」コソコソ
少女「ドラゴン?ミノタウロス?……かっこいい!!!!全部見たい!!!!」
少年「少女ちゃんは元気だね……」
…………
怪盗「さぁて、じゃあフェンリルにしようか。一番かわいいと思うよ。せめてもの情けだ。感謝しなよ」カチャッ
盗賊「ヒィッ……親分!」
親分「…………仕方あるまい」
怪盗「覚悟はできたみたいだね。それじゃあ……」キィッ
眼鏡「ダメ」パシッ
怪盗「……ジャマしないでおくれよ」
眼鏡「……この辺りの魔力の均衡は魔族がいない状態で保たれている。召喚魔法は容易に使うべきじゃない。それに……」チラッ
盗賊「……なるほどね。確かにあの子の前でこんなことはできないな」
眼鏡「……」スッ
盗賊「……なーんてね」パァン!パァン!
眼鏡「……!」
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