【05】鍛冶屋にて

「「「どうぞ!」」」


鍛冶屋「ほんとに採ってくるとは……待ってろ」


…………


コポコポコポコポ…………


少女「わぁ……綺麗な赤色……ピンクかな?」


鍛冶屋「この色はマゼンタっていうんだよ。木の実の名前もマゼンタベリーだったろ?」


少女「木の実は青色だったのに。不思議です」


鍛冶屋「スイカだって外は緑だが中は赤だろ?これもそうなんだよ。身の中身は鮮やかな赤色をしていて、煮込んで染料にするとこんな感じにマゼンタになる。だからマゼンタベリーっていうんだ。まぁ元々は染料じゃなく薬として使われていたらしいが」



鍛冶屋「ありがとう。おかげでいい剣が作れそうだ。……約束をしていた訳じゃないがダンスの練習、付き合ってやってもいい」


少女「いいんですか!?」


鍛冶屋「まず、このきのみをマジで採りに行ったんだ。根性は認めてやれる。それに、ええと。そういえば名前をまだ聞いてなかったな」


少女「わ、忘れてました!すみません!わたしは少女、少女です。それに少年と、眼鏡です」ペコリ


少年「よろしくお願いします」ペコリ


眼鏡「……」ペコリ


鍛冶屋「少女。……少女か。ふむ。いいや、気にしなくていいさ。俺も名乗ってなかったろ?鍛冶屋だ。よろしく。とりあえず、そうだな。少女はマゼンタベリーの色を"綺麗"と言った。マゼンタベリーの色は俺が一番好きな色なんだ。その色を好きだと言う少女のことは"信じて"みたい」


少女「あっ……ありがとうございます!」


鍛冶屋「まぁそもそも俺は少女のこと、知ってたんだ。薬が足りなかったとき、ルビーハーブを採りに行ったの、少女なんだろう?父さんが俺の家に薬を届けに来たときに話を聞いたよ。あのときはありがとうな。……父さんと話したのは久しぶりだったよ。名前だけしか聞いてなかったから、最初はお前が少女とはわからなかったんだ」


少女「えっ……えっと……ありがとう、ございます」テレテレ


鍛冶屋「ははっ、さてと。ダンスはいつまでに仕上げるんだ?」


少女「ちょっと待ってください…………えぇと……一週間……くらい……」


少年「そんなに時間なかったっけ……」


鍛冶屋「…………スパルタになるぞ」


…………


「「「はい!!!」」」

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