概要
人間たちの国、イスハルト帝国の東端に位置する、小さな街で事件が起こる。
祭りの日だというのに、港からは誰もやってこない。おかしいとは思いつつも、問題にはせず、のどかだが地域復興をかけた祭りが始まっていた。そこに忍び寄るゴブリンたちの気配も知らずに。
街の青年オルフとヘンリーは、その日も守備隊長から訓練を受けていた。彼らの頭は祭りのことでいっぱいで、守備隊長が港から荷が来ないという問題に駆り出されても、大して気にしてはいなかった。
~登場人物一覧~
オルフ 街の青年
ヘンリー オルフの親友
マイ 人間兵器アヌラグロワール43号
ウォルター 街の守備隊長
スージー 唯一の衛
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!素敵な『おっさん図鑑』!!
と。
書いてしまうと、他の読者さまからお叱りを受けるかもしれません。
このお話はとてもシリアスな、ゴブリンとの攻防を描いた物語です。
ゴブリンにとって、人間は『餌』です。
食べるために。売るために。そして、子種として。
狩りに来るのです。
孤立無援の小さな町。
人々はどう対抗するのか。
戦う者。守る者。支える者。
残酷で悲惨な現実に晒されながらも、それぞれが前を向いて進んでゆく。
あっけらかんとした冒険譚ではないので、読者を選ぶかもしれません。
斯く言う私も、前評判を聞いておりましたので警戒しつつ読み始めました。
そうしたら……!
毎話毎話、素敵オヤジが!!
自他共に認めるおっさん好…続きを読む - ★★★ Excellent!!!血飛沫は赤く、黒く。抗う人間たちを目に焼きつけろ
一つの街を巡る攻防戦。
守るのは半ば見捨てられた街の人々、攻めるのはゴブリンの大群。
このゴブリン、ただの獣ではなく、指揮官に率いられた一端の軍隊です。
知性あるもの同士の集団戦ということで、ヒーロー物ではなく、戦記ファンタジーが近いでしょう。
ただ、街とそこに住む人々を描ききった物語ですので、あくまで現場からの視点が貫かれています。
例えが古くて申し訳ないのですが、戦闘シーンの乾いた筆致や、序盤の凄惨な雰囲気は、ペキンパー監督の「ワイルドバンチ」辺りを思わせました。
しかし、決して硬いばかりの暗鬱とした話でもありません。
多くの犠牲を出しながらも、希望が絶えることはなく、正しくラノベ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!壮大な、ゴブリンと人間との攻防戦
このお話は、出てくる人々すべてが主人公です。不要な人物がいません。すべてに絡んでいます。
ゴブリンもそうです。ゴブリンにキャラ性が必要か? 必要でした。ゴブリンにも事情がある、性格がある。それらを踏まえた上でじっくり読んでみてください。
全体として眺める、ハラハラドキドキする物語はまるでハリウッド映画のようです。戦闘シーンもふんだんに盛り込まれ、読んでいると体が自然と動きます。焦る気持ちも伝わってきて、今まさに自分は物語の中にいるのだと思えます。映画ならではの感覚です。
それ以外にも、キャラそれぞれの個性が立っていて、ぐいぐい引き込まれます。人々の普段の生活が見えるからこその対比など、ぞくぞ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!恐怖! ゴブリン襲来!
祭の日、突然街を襲ったゴブリンの軍勢。ただし、奴らは闇雲に押し寄せてきたわけではなかった。軍陣を整え、策を練り、周到に計画された侵入作戦にのっとって、深く静かに侵攻してきたのだ。
邪悪で欲望剥き出し。しかも人間を食べる凶悪なゴブリンたち。だが、奴らは、ある恐ろしい目的があって人間の街を襲っていた。
対する人間側の切り札は「人間兵器グロワール」という謎の武器。果たしてそれは如何なる代物か。
本作の見所は、なんといってもゴブリンたちだ。
ゲームやファンタジーでは、最初にやっつけられる、いわゆるザコキャラ。ところがもし、こいつらがきちんとした指揮官を得て統率され、集団で襲ってきた…続きを読む - ★★★ Excellent!!!本格ダークファンタジー
重厚な雰囲気の中で展開されるダークファンタジー。
登場人物たちにそれぞれの個性が、さらに物語の魅力を引き立てます。
1話読み終える度に、物語の中で起こった出来事が、ずしりと心にのし掛かってくる。
設定や世界観。細部まで丁寧に練られた構造は、読んでいてすんなり物語の中に入ることが出来ました。
そして、なんと言ってもカッコいい戦闘シーン。
細部までとことん拘った手に汗握るそれらの表現は、文章的演出力があるからこそ、出来る表現だと思います。
ゴブリンというと、今までのファンタジー作品では簡単に倒せてしまう経験値稼ぎのモンスターです。
ですが、この物語では魔王なみの驚異なんです。
人間対…続きを読む