第21話 モコに再会

一月も後半に差し掛かり、雪は少しずつ溶けて街の景色が元に戻り始めていた。あの雪の日に三人で作った雪だるま「モコ」のことを、ふと思い出していた私は、カフェで美香さんと咲子さんにその話をしてみた。


「モコ、どうなってるかな。まだ残ってるかもしれないよね」と私が言うと、美香さんは目を輝かせて「それ、見に行こうよ!」と即答した。咲子さんも「……まだ溶けてなかったら嬉しいね」と小さく微笑んだ。


公園に向かう途中、私たちは雪だるまを作った時の話で盛り上がった。あの時の咲子さんが「ユキの友達」という発想で名前を付けてくれたことが、なんだか私たちにとって特別な思い出になっていた。


「もしモコがまだ残ってたら、記念写真を撮りたいな」と美香さんが言うと、咲子さんは「……いいね」とうなずいた。その小さな声には、どこか期待が込められているように感じた。


公園に着くと、私たちはあの場所に急いだ。そこには、少し小さくなって形が崩れかけたモコがまだ残っていた。枝で付けた腕は片方が落ちてしまい、少し寂しい姿になっていたが、確かにモコはそこにいた。


「まだいる!」と美香さんが声を上げた。「すごいね、こんなに溶けずに頑張ってるなんて!」と彼女は笑顔でモコに近づいた。


咲子さんもそっとモコに近づき、静かに見つめながら「……まだここにいてくれて嬉しい」とつぶやいた。その声に、私たちは何も言わずにうなずいた。


美香さんが持ってきていたスカーフを、モコの首に巻きつけた。「ちょっとオシャレにしてあげたら、また元気になりそうじゃない?」と笑いながら言う彼女に、咲子さんも「……うん。似合ってる」と優しく答えた。


私はその様子を写真に収め、「これ、またいい思い出になるね」と言った。咲子さんと美香さんも、スマートフォンを取り出してそれぞれモコの写真を撮った。


「これでモコも私たちの一部だね」と美香さんが言い、私たちはその言葉に自然と微笑みあった。


帰り道、咲子さんがぽつりと「私、こんな風に雪だるまと写真を撮ったの、初めてかもしれない」と言った。


「それなら、モコが特別な存在になったね」と私が言うと、咲子さんは小さくうなずき、「うん、特別だね」と静かに答えた。


美香さんが「また雪が降ったら、次はもっと大きい雪だるまを作ろうよ!モコの兄弟を作るってのはどう?」と楽しそうに提案した。咲子さんもその言葉に、「……いいかも」と微笑みながら答えた。


モコとの再会は、ただの思い付きだったけれど、私たちにとってまた一つの大切な思い出になった。雪はいつか溶けてしまうけれど、私たちの中に残ったモコとの時間は、消えることなく心に刻まれるだろう。


寒い冬の中でも、こうして一緒に笑い合える時間があること。それが、私たち三人にとって一番の温もりだと感じた。モコのそばで撮った写真を見返しながら、私は静かに心の中で感謝した。


こうして、私たちはまた一つ新しい思い出を作り、これからも一緒に歩んでいく未来を感じていた。

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