第46話 つながる想い

四季をテーマにした展示会の準備が最終段階に入り、私たちはそれぞれの役割を完成させるために忙しくしていた。作業が進む中で、私たちはふと、自分たちの展示を通じてどんな思いを届けたいのかを改めて話し合う時間を持つことにした。


「この展示で、何を伝えたいんだろう?」と美香さんが言った。「ただ作品を並べるだけじゃなくて、もっと何か伝わるものがあるといいよね。」


「……私、最初はただ作るだけで楽しかったけど、今は見てくれる人に、少しでも何か感じてもらえたらいいなって思う」と咲子さんが静かに言った。


「例えば?」と私は尋ねると、彼女は少し考えてから答えた。「……四季って、移り変わるものだけど、その中でいつも何か新しいことが始まる気がする。だから、見た人にも、新しい一歩を踏み出すきっかけになったらいいなって。」


その言葉に、私たちはじんと胸が温かくなるのを感じた。咲子さんの言葉には、彼女自身がこれまで経験してきた葛藤や成長がにじんでいた。


「それ、すごくいいね」と美香さんが笑顔で言った。「じゃあ、展示会のテーマを『新しい一歩』にしようよ!」


「いいね」と私も賛成した。「四季の展示が、それぞれの一歩を象徴するようになれば、見る人にとっても特別なものになると思う。」


佐藤さんも「それなら、僕たちが作った作品が、一つのメッセージとしてつながるように見せ方を工夫しましょう」と提案してくれた。


その後、私たちは展示のレイアウトにテーマを取り入れるアイデアを出し合った。


「例えば、春の作品の隣に、小さなメッセージカードを置いて、『新しい季節を楽しむ』って書くのはどう?」と美香さんが提案した。


「いいね。秋には『変化を受け入れる』とか、そんなメッセージを入れるのもいいかも」と咲子さんが続けた。


「じゃあ、冬は『静かに心を整える』にしよう」と私が言うと、佐藤さんが「夏は『大胆に挑戦する』でどうでしょう?」と笑顔で提案した。


こうして、「新しい一歩」をテーマにした展示のメッセージが形になり、それぞれの作品が持つ意味がより深まった。


展示準備が終わった帰り道、咲子さんがふと「……自分の作品を見てもらえるのは、やっぱり怖いけど、少し楽しみでもある」とつぶやいた。


「それでいいんだよ」と私は言った。「その気持ちが伝わるから、きっと誰かの心に響くと思う。」


「そうそう!咲子さんの作品、絶対みんなに喜んでもらえるよ!」と美香さんも笑顔で応えた。


春の風が優しく吹き抜ける中、私たちは一つの目標に向かって進んでいた。それは私たち自身が歩んできた道を振り返りながら、次の新しい一歩を踏み出すためのプロセスでもあった。


展示が完成した時、それがどんな形で誰かに届くのか。その期待を胸に、私たちはまた一歩未来に向かって進んでいった。

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