第45話 挑戦の再開

咲子さんと過ごした春の日から数週間が経ち、私たちは再び四季をテーマにした展示の準備に戻っていた。それぞれが新たな気持ちで制作に向き合い、作品が少しずつ形になっていくのを感じていた。


ある日、私たちは美香さんの家で集まり、それぞれの進捗を見せ合うことになった。テーブルには、春を象徴する美香さんの刺繍作品、咲子さんが作った秋の布小物、佐藤さんの木工の夏のオブジェ、そして私が描いた冬のイラストが並べられた。


「すごいね、全部が揃うと一つの季節だけじゃなくて、本当に一年の流れが感じられる」と美香さんが嬉しそうに言った。


「……こうして並べてみると、やっぱり皆の作品が一緒にあるのって特別な感じがする」と咲子さんが小さな声で言った。


佐藤さんも「皆さんの作品、本当に素敵ですね。自分が関われて良かったです」とほほ笑んでいた。


作品を一通り確認した後、私たちは展示スペースのレイアウトを考えることにした。


「どう並べるかで、全体の印象が変わるよね」と美香さんが言い、咲子さんが「……春から始まって、順番に季節が巡る感じにするのはどうかな」と提案した。


「いいね!」と私は答えた。「季節が一つずつ移り変わっていくのが分かるように、少しずつ色味が変わっていくような並べ方にすると面白いかもしれない。」


佐藤さんも「それなら、夏から秋に移るところで、少し色味をつなげるデザインにするのが良さそうですね」とアドバイスをくれた。


その後、私たちは展示に使う装飾を手作りすることにした。美香さんはカラフルなガーランドを作り始め、咲子さんは布を使った花や葉っぱのオブジェを作ることにした。


私は展示の案内用に小さな看板を描き、佐藤さんは作品を引き立てる木製の台を制作することになった。


準備が進む中、咲子さんがふと手を止め、「……私、この展示が終わったら、もっといろんな人と一緒に作ることに挑戦してみたい」と言った。


その言葉に、美香さんが「いいじゃん!咲子さんなら絶対うまくいくよ」と明るく言った。


私も「そうだね。咲子さんの作品は本当に優しさが伝わるから、きっといろんな人が感動すると思うよ」と励ました。


咲子さんは少し照れたように「……ありがとう」とつぶやいた。その表情には、新しい挑戦への期待と不安が入り混じっていたが、確かな決意も感じられた。


帰り道、春の夜風が静かに吹き抜けていた。美香さんが「これ、絶対最高の展示になるよね!」と笑顔で言うと、咲子さんも「……うん、きっとそうだね」と小さく微笑んだ。


私は二人を見ながら、「そうだね。これまでの努力が全部報われるような展示にしよう」と心の中で決意を新たにした。


挑戦は再開したばかりだが、私たちの絆は以前よりも深まっている。そして、完成する展示は、私たちが支え合い、共に歩んできた道の証となるだろう。


春の夜空に輝く星を見上げながら、私はまた一歩、未来へと進む気持ちを感じていた。

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