第39話 次の挑戦
支援施設での発表会が無事に終わり、私たちはほっとした気持ちでカフェに集まった。その日、美香さんが持参したのは、施設の人たちからもらった感想カードだった。
「これ見てよ!」と美香さんが嬉しそうに言いながらカードを広げた。「みんな、すごく褒めてくれてるよ!」
カードには、「とても感動しました」「小さな一歩が大切だと気づかされました」「この絵本を読んで、私も何か挑戦してみたいと思いました」など、心温まる言葉が並んでいた。
咲子さんはカードをじっと見つめ、「……こんな風に感じてもらえるなんて、思ってなかった」と静かに言った。その言葉には、驚きと感謝の気持ちが込められていた。
私たちは感想を読みながら、この絵本が多くの人に喜んでもらえたことに、改めて達成感を感じていた。そして自然と、「次は何を目指そうか」という話題になった。
「やっぱり次も何か作りたいよね!」と美香さんが目を輝かせながら言った。「今回は絵本だったけど、次は違う形で表現するのも面白いんじゃない?」
「違う形?」と私が尋ねると、美香さんは「例えば、もっと大きな展示とか、みんなが触れられる作品を作るとか。もっと広く、いろんな人に見てもらえるものを考えたいな」と話した。
咲子さんは少し考え込んでいたが、やがてぽつりと「……私、もっと作るのが好きになった気がする。だから、何かを一緒に作るのはいいな」とつぶやいた。
その言葉に、私と美香さんは自然と微笑んだ。「じゃあ、次も何かみんなで作ろう」と私が言うと、美香さんも「もちろん!」と力強く答えた。
話し合いの中で、次の目標として「みんなで参加型のワークショップを開こう」という案が浮かび上がった。「一緒に何かを作る楽しさを、もっと多くの人に知ってもらいたい」という思いが、三人の中で一致した。
「例えば、小さな手作り小物を一緒に作るとか、絵本の続きの物語をみんなで考えるとか。そういうのも面白そうだね」と私が提案すると、美香さんは「いいじゃん、それ!みんなが楽しめる場を作りたいね」と賛成してくれた。
咲子さんも「……私も、少しずつなら教えたりできるかも」と前向きな言葉を口にしてくれた。
帰り道、咲子さんが「次の挑戦があるのって、少しワクワクするね」と言った。その言葉に、私は「そうだね。新しいことを始めるのは不安もあるけど、それ以上に楽しみがある」と答えた。
美香さんも「私たちなら大丈夫だよ。何だってできる気がするもん!」と笑顔で言った。
春の空の下、私たちはまた新しい挑戦に向かって歩き始めた。それは、私たち三人だけではなく、もっと多くの人と喜びを共有するための第一歩だった。
『小さな羽ばたき』を完成させた私たちは、次の大きな空に向かってさらに羽ばたく準備を整えていた。
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