第41話 新しい仲間
ワークショップの成功から数日が経ち、私たちはカフェで次の目標について話し合っていた。ワークショップを通じて、多くの人とつながりを持てたことが嬉しく、次も何か新しい挑戦をしようという気持ちが高まっていた。
「次はもっと大きなことをやりたいよね」と美香さんが言った。「例えば、もっと多くの人が参加できるイベントとか?」
「それもいいね」と私が答える。「でも、今回は私たちだけじゃなく、誰か新しい人と一緒に何か作るのも面白いかもしれない。」
「新しい人?」と咲子さんが少し驚いたように聞き返した。
「うん、例えば今回のワークショップで仲良くなった人たちとか、同じ施設にいる他の利用者とか。新しい視点が加わると、もっと面白いものができる気がするんだ。」
美香さんは「それ、いいね!いろんな人の力を借りて、もっと大きなことに挑戦しようよ!」と賛成してくれた。咲子さんは少し考え込んでいたが、「……私、人と一緒にやるのは少し怖いけど、皆がいるなら大丈夫かも」と静かに言った。
次の日、私たちは支援施設に行き、今回の絵本やワークショップの経験を話しながら、「一緒に何かを作ってみたい人はいませんか?」と声をかけてみた。すると、何人かが興味を持ってくれた。
その中には、施設でよく顔を合わせる佐藤さんという男性もいた。彼はとても器用で、木工や手作りアクセサリーが得意な人だった。「自分も何か役に立てるなら」と言ってくれた彼の言葉に、私たちは大いに勇気づけられた。
新しい仲間が加わり、私たちは再び集まり、新しいプロジェクトについて話し合った。今回は「四季」をテーマにした大きな展示を作ることに決まった。それぞれの季節を表現する作品を作り、それを一つの空間でまとめるというアイデアだった。
美香さんは「春」を担当し、色とりどりの花や蝶を刺繍で作ることにした。佐藤さんは「夏」を担当し、木工で小さな船や波の形を作ると意気込んでいた。
咲子さんは「秋」を選び、「……落ち葉や木の実をイメージした布小物を作りたい」と話してくれた。その声には、少しずつ自信が生まれているのが感じられた。
私は「冬」を担当し、静かな雪景色を描いたイラストや、それを元にした小さな装飾品を作ることにした。
私たちは週に一度集まり、それぞれの進捗を確認し合った。新しく加わった佐藤さんのアイデアや作品が、私たちに新しい視点を与えてくれるのを感じた。
「これ、すごくいいですね!」と美香さんが彼の木工作品を見ながら言い、「夏の感じがすごく伝わる」と感心していた。
咲子さんも少しずつ佐藤さんに話しかけるようになり、「……これ、どう思いますか?」と自分の作品について意見を求めるようになった。佐藤さんは丁寧にアドバイスをしてくれて、そのやり取りが咲子さんにとって大きな励みになっているのが分かった。
帰り道、咲子さんが「……新しい人と一緒にやるのって、最初は怖かったけど、話してみると楽しいね」とつぶやいた。
「そうだね。新しい仲間が加わると、私たちの可能性も広がるよね」と私は答えた。
美香さんは「これからもっと面白いことができそうな気がするね!」と元気よく言った。
春の暖かな風が吹く中、私たちは新しい仲間とともに、新たな挑戦に向けて一歩を踏み出した。それはこれまで以上に大きな夢への第一歩だった。『小さな羽ばたき』が教えてくれた勇気と希望を胸に、私たちはさらに高く羽ばたく準備を進めていた。
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