第16話 クリスマスの計画
12月も半ばを過ぎ、街はクリスマスの飾りで彩られていた。カフェに集まった私たちは、自然と「今年のクリスマスはどう過ごそうか」という話題になった。
美香さんが笑顔で「せっかくだから、何か一緒にやろうよ!ケーキとか買ってさ、のんびり楽しめるような集まりにしない?」と提案した。彼女の言葉には、クリスマスという特別な時間を大切な仲間と過ごしたいという思いが込められているのが伝わってきた。
咲子さんは少し考え込んでいる様子だったが、やがて小さな声で「……いいかも」とつぶやいた。彼女が自分から賛成してくれたことが嬉しくて、私と美香さんは顔を見合わせて笑った。
私たちは具体的な計画を立て始めた。どんなケーキを買うか、ちょっとしたプレゼントを交換するかどうか、どこで集まるか。美香さんが「私の家に来てもいいよ。大したことはできないけど、簡単な飾り付けくらいならできるし」と提案してくれた。
「それなら安心だね」と私が言うと、咲子さんも「……美香さんの家なら、落ち着けそう」と頷いた。
「じゃあ決まりだね!」と美香さんが嬉しそうに言った。「ケーキは私が買っておくから、二人は何か好きな飲み物とかお菓子とか持ってきてくれたらいいよ。プレゼント交換もやろう!何か小さいものを準備しておいて。」
プレゼント交換の話題になると、咲子さんは少し困った顔をした。「プレゼント……何を選べばいいかわからないかも」と言った。
「そんなに難しく考えなくていいよ」と美香さんが笑顔で答えた。「お菓子でも、ちょっとした雑貨でも、なんでも大丈夫だから。」
私も「気持ちがこもっていれば、それで十分だと思うよ」と言った。その言葉に咲子さんは少し安心したようで、小さく微笑んだ。
クリスマスの計画を立てながら、私たちはなんだか子どもの頃に戻ったような気持ちになっていた。大きなことをするわけではないけれど、こうして誰かと過ごす時間を楽しみにできるのは、とても幸せなことだと思えた。
帰り際、咲子さんがぽつりと「クリスマスを誰かと過ごすの、久しぶりかも」と言った。その声には少し照れくさそうな響きがあったが、その言葉がどれほど彼女の中で大きな意味を持つものかを私たちは感じ取っていた。
美香さんはにっこりと笑って「私たちも一緒に過ごせるのが嬉しいよ」と答え、私も「きっと楽しいクリスマスになるよ」と声をかけた。
家に帰る途中、ふと私は気づいた。クリスマスを楽しみにできるのは、誰かと一緒にその時間を共有したいと思えるからだ。私たち三人が、それぞれのペースで一緒に過ごすクリスマスが、どんなに特別なものになるかを思いながら、私はそっと微笑んだ。
その夜、私は小さなプレゼントを準備することを決めた。咲子さんや美香さんに、ありがとうの気持ちを伝えたい。クリスマスが、その思いを形にする良い機会になると感じたからだ。
静かな冬の夜、私たちの心の中には、少しずつ特別な時間が近づいていることへの期待が膨らんでいた。
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