第18話 年末の振り返り

クリスマスの余韻がまだ残る中、私たちは年末のカフェで集まることにした。街にはお正月の準備が進み、クリスマスの飾り付けが少しずつ片付けられていく中で、私たちは一年を振り返ることにした。


美香さんがコーヒーを一口飲んでから、「この一年、いろいろあったね」としみじみと話し始めた。「こうして咲子さんや田中さんと出会えたことが、私にとってすごく大きな出来事だったなぁ。」


「私もだよ」と私は静かに答えた。「最初は、自分が誰かとこんなふうに付き合えるなんて思ってもみなかった。でも、二人と過ごす中で、自分の居場所が見つかった気がする。」


咲子さんは私たちの言葉を聞きながら、カップを握りしめていた。そして、少し迷った後で口を開いた。「……私も、皆に会えて良かった。最初は、自分がこうやって誰かと話すのが怖くて、無理だと思ってた。でも、少しずつだけど、話せるようになってきたのは、二人のおかげだと思う。」


彼女のその言葉に、私たちは温かい気持ちになった。咲子さんの小さな声には、確かな感謝と、この一年間の成長の証が込められていた。


私たちはそれぞれ、この一年を通して乗り越えてきたことや、自分の中で変化したことを話し合った。


美香さんは、「私はずっとチック症のことを隠したいと思ってたけど、今は自分の特性をオープンに話せるようになった。それで人間関係が少し楽になった気がするんだ」と明るく話した。


咲子さんは「職場で話しかけられることが増えたのが、最初は怖かった。でも、今は少しずつだけど、返事ができるようになってきて、それが自信につながってる気がする」と静かに語った。


私も、「統合失調症のことで混乱する日もあったけど、支援施設や二人の存在が大きな支えになった。少しずつだけど、自分のペースで前に進めている気がする」と伝えた。


その日、私たちはいつも以上に穏やかな時間を過ごしていた。一年を振り返る中で、自分たちが少しずつ成長し、お互いに支え合ってきたことを実感できたからだ。


カフェを出る頃、ふと美香さんが「来年は、もっと楽しいことが増えるといいね」と言った。それに対して咲子さんは、「……そうだね。これからも、一緒にいられたら嬉しい」と答えた。


私も「来年も、こうして一緒に過ごせるといいね」と静かに続けた。


帰り道、街のイルミネーションが静かに消え始めるのを見ながら、私は思った。私たち三人が出会えたこと、それぞれの特性や障害を受け入れながら共に歩んできたこと。それが、この一年の中で一番の宝物だと感じていた。


新しい年がどんなものになるかはわからない。それでも、私たちはまた一歩ずつ、支え合いながら前に進むことができるはずだ。そう信じながら、冷たい夜空を見上げた。


年末の静かな夜、私たちはそれぞれの胸に希望の光を抱きながら、それぞれの帰り道を歩いていった。

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