第34話

「……ご迷惑をおかけしました」

 ――護宮。淡い金色の竜――尾は瑠璃色だ――が、目の前の白い竜に言う。


「やっと終わるな。結界期が。

 ……ケイディスに接触は?」

「いえ、まだです」


「急げ。クライグにも限界がある」

「ええ」


 金色の竜が消え、白い竜が残る。ややあって、


「シースぅラクっトッ!」


 全身をラヴェンダーの鱗に覆われ、練色の髪を生やした龍が現れた。長い胴で陽気に絡みつくと、


「あそぼっ! オーリスとホズティスも!」

「オーリス! ホズティス! ミオルズガリナを調子付かせるな!」


 白い竜は、逃げるように翼を広げ、飛び去る。

「待ってよぉ!」

 ラヴェンダーの龍が、後を追った。



◆◇◆◇◆

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