第25話

――どうして?

 ――どうして?


 ――……消えてしまいたい。


 ――わたしが……わたしが……。


 ――みんな……みんな……わたしが……。

 ただ、固く閉じ、否定する。それしか彼女にはできなかった。


 ――消えればいい。みんな……みんな……わたしが……。


《……スクーヴァル》

 突然の、声。

 顔を上げると、知った顔だった。


《……ムィアイーグ……》


《スクーヴァル。泣かないで下さい》

 繊細な、優しい笑顔。だが、彼女はそれをすぐに拒絶する。


《……スクーヴァル。聞いてください》

 そっと、後ろから抱き締められる。

《真実を知らなくてはなりません。さあ、顔を上げてください》


 彼女の嗚咽だけが、響いていた。



◆◇◆◇◆

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