第24話
氷王神殿の壁は白い。これは、氷王神殿を構成する氷に、雪がこびりついているためだ。
ただ真っ白な空間。耐性はあると言っても、この寒さは身にしみる。
だが、そんなことを気にしている場合ではない。目的地――居住区に向かった。
最近まではケイディス一人だったが、今はスクーヴァルも居る。この二人が同時にいるなら、好都合この上ない。
「スクーヴァル! ケイディス!」
勢いをつけて、扉を開く。二人の姿があったことに安堵するが、すぐに気づく。
「……スクーヴァル……」
最近作られたばかりの部屋のベッドで、彼女はただ横たわっていた。涙の跡。
「……遅かったん……ですね……」
「リガス……何か知ってるのか?」
いつになく真摯な声で尋ねられ、彼は頷き、
「……場所を変えましょう。意識がなくても耳が聞こえる場合があるそうですから」
彼女を一人置いていくことを躊躇するケイディスを、無理矢理連れ出し、
「結論から言います。ステアルラを殺さなくては。
……そうでなければ、スクーヴァルが死にます」
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