第35話

「…………?」

 氷王神殿の自室にて。彼は、突如変わった雰囲気に気を取られた。

「…………」


「どうしたの?」


「あ、何でもねぇ……」

 キオが消えた以上、無理に氷王神殿に住む必要はないのだが。スクーヴァルは、未だにここにいた。おそらく、耐性が強いのだろう、けろりとしている。


 目の前で起きた違和感。初めてではなかった。ここ最近、何度かある。

 それは、頻度を増してきている。


 ――嫌な、予感がした。


 そして――黒い氷王神殿。

 そうとしか表現できない場所で、ムィアイーグが溜息をついた。もう一度、ケイディスに手を伸ばしながら。



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