第38話

「……居た!」

 物陰から、彼らは彼女を見つめた。


 ――報告が入ったのだ。赤い髪の少女を見つけたと。


 ケイディスの話で、彼女が闇王レグアであると分かっている。とすれば、十五神王からの何らかのメッセージの可能性が高い。……勿論、彼女の行方不明に十五神王が関わっているとは言い難かったが、この際可能性は何にでも縋りたかった。


 スクーヴァルが消息を絶って四ヵ月。あれから、十五神王はまったく姿を見せていなかった。ケイディスが感じていた違和感も、消えた。そして、ラズガルズ。元々彼女にしか扱えないものだったのか、何をしても反応しない。


「…………」

 こちらを知ってか知らずか、転移する。


「追うぞ!」

 二人が追って転移した先――黒い、氷王神殿。


 そこに、雪より白い髪の男と、意識のないスクーヴァルが居た。



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