第20話

「スクーヴァル、久しぶり」

 見知った声に、彼女は振り向く。

「久しぶり。元気?」

「ああ。ステアルラは?」

「えっと……相変わらず」


 乾いた空気。平屋の粘土塗りの家が立ち並ぶ。――辺境の小結界・ニーバッツ。彼女の故郷だ。


「どうしたの? 急に」

「う~んと……懐かしくなっちゃって。本当は、もうちょっと早く帰ってくる予定だったんだけど……」


「そう? 後でルセルのところに行く? 結構寂しがってたから」

「あ、うん。でも、先に家を見てくる」

「そう、じゃ、後で」

「うん。後でね」


 言い、慣れた道を通って懐かしい家に入る。それほど時間が経っていないからなのか、荷物がなくなっている以外は記憶のままだ。


 と、兄の部屋だった場所に入り、

「……お兄ちゃん……何で……?」


 ぽつりと、ひとり呟いた。



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