第15話

「氷王ムィアイーグ……」

 スクーヴァルの話を聞きながら、ぶつぶつと呟くケイディス。機密室である。さっきの面々から、医者とステアルラが外れている。


「……う~ん……」

 かなり経って、


「……ダメだ。思い出せねぇ」

 根を上げるように言った。


「……違うという感覚は?」


「ねぇ。……思い出せねぇ」

「……プラチナブロンドにマラカイトの眼……」

 アルシオが、ケイディスをしげしげと見ながら呟く。


「スクーヴァル、似ていますか?」

 リガスに問われ、首を傾げながら、


「繊細な人だったわ。おとなしそうで……そういう雰囲気」

「つまり、ガサツで乱暴なケイディスには似ても似つかないってこと?」

「……そこまで言ってないもん」

 頬を膨らませるスクーヴァル。……いや、言っていると思うが……。


 しかし、繊細? おとなしい? ……まあ、第一印象ならば、だな……。


「多分、身長は同じぐらいだと思うけど……」


「他に情報はありませんか?」

「……あ!」

 スクーヴァルが両手を広げると、その間に杖が現れる。


「これは……?」

「もらったの。道に迷わないようにって」

「……ふーん……」

 言いながら、ケイディスがそれを取る。その瞬間――


 そこは、機密室ではなくなっていた。



◆◇◆◇◆

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