第3章 ――ニーバッツ――

第18話

第3章 ――ニーバッツ――




「…………」

 石で造られた王宮。一つの扉の前に、彼女は佇んでいた。

 ノックすることも、立ち去ることもしない。


「やっぱここか」

 声がして、振り向いた。

「……ケイディス……」


「ここにはもう来るな。何度も言っただろ?」

 言って、彼女の手を引いて歩き出す。


 彼女――スクーヴァルは、未練がちに兄の部屋の扉を振り返りながら、彼に引かれるままに歩いた。



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