第29話

護宮ごきゅうに、似ている。それが第一印象。


 ただ、違ったのは、門があるということ。門だけ。

 古めかしい遺跡から門だけを切り取ってきたような……そんな感じだ。


 いたのは、ステアルラ、ケイディス、スクーヴァルの三人。


 やがて、門の奥から人影が現れる。

「……おや? セシトイオはどうしたんだい?」

「来なかったみたいだ。リガスも」


「そうかい。ま、入りな」


 露草色の髪をポニー・テールにし、丈の短い上着と大きなスリットの入ったタイトスカートという服装の彼女は、門のほうへ歩きながら、


「スクーヴァルは知らないね。冥王ティラムだよ。……もう会わないだろうけど」

 言い、門の前で立ち止まると、

「ほら、さっさと来な」


 勝手に門に入ってしまう。


 後に続いて入る。すると、門の中が現れた。


冥宮めいきゅうって言ってね」

 迷路のような道を歩きながら、ティラムが言う。

「死した魂が通過していくところさ」


 すぐに、広い空間に出る。一同は、そこで止まった。


「……お兄ちゃん……なの?」

 ぽつりと、スクーヴァルが呟く。

「……ああ」

 ステアルラは、哀しげな笑顔で、


「俺はキオではない。キオに造られ捨てられた、お前の兄としての感情だ」



◆◇◆◇◆

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