第2話 生徒会長 桐生院覇那

 さすがは有名な学校。倍率は高かったんだろうけど、

入学した人数はなかなか多かった。この地域に加えて

県外から入ってくる子もいるからそりゃそうか。

 校長、理事長の話なんて聞こえてない。どうせ私が

生徒会長になった時には、良い言葉しか投げかけてこないから。

私はとにかく今この学校を支配していると言ってもいい、

現生徒会長の顔が見たい。どういう演説なのか聴きたい。

 「皆様、本日は御入学おめでとうございます。私、

生徒会長の桐生院覇那きりゅういんはなと申しますわ。」私の上から言葉が発するという、

数少ない機会、精々せいぜい数えてなさい。桐生院覇那。

 「私も去年は皆様と一緒の立場。不安や緊張の気持ちはお察しします。

桐生院の血を引く者であれど、一人の高校生でございます。しかし、

言い換えればそれは、ここに集まった方々は一緒のスタートライン。

どのような境遇きょうぐうでも、どのような方でも、この学園に必要な存在となります。

皆様の力を一つにして、この蒼星での三年間をより豊かなものとして

参りましょう。」会場に大きな拍手が起こった。まあ、悪くない演説。

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