第8話 一瞬の再会

 「皆様一体何を…ちょっと!」突然だったし縛られているので、

振り向くことは出来ないが、声は忘れない。生徒会長だ。

「立てますわね?」テープを丁寧ていねいに剥がされ、手を差し伸べられる。

今後敵にはなるだろうけど、今はそれどころじゃない。

手を取ってなければ、腰が抜けてへたり込んでいたくらいなので。

「何やら『お話』をされていた様ですが、今日のところはお開きですわ。

貴女あなたはもう帰りなさい。まだ御用があるのでしたら、今度は私自らが

お聞きいたしますわね。それではごきげんよう。」扉を一方的に閉められた。

『ごきげんよう』ね…。あんなシチュエーションの後で使うもんなの?

 やはり、と言うしかないけど、私のことはただの一生徒として見られている。

焦らない。まだ一日目。にしては、生徒会の内部は少々わかった。

あの生徒会は、会長とその狂信者きょうしんしゃ達で成り立っている。全員がそうでは

無いんだろうけど。会長と幼馴染って時点で気付くべきだった。

まだ得体は知れない。でも、深く知ろうとも思わない。そりゃあ

あんなことをされて尚、ズカズカ入り込まれたらただの迷惑な生徒。

内部の事情がどうあれ、私が目指す立場には依然いぜん変わりは無い。

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