第9話 SIDE 桐生院 〜闖入者の一件〜

 「何で止めたの、覇那ちゃん!」綾奈はまだ苛立いらだちが収まってない様子。

「ここでは『会長』で通してと申しましたが…。別に危害を加えに来たという

様子ではなかったのでしょう?むしろ、逆の立場だったと見受けましたわね。」

 「すみません会長…。どうしても、我慢出来なくて。」ああ、やはり最初に

事を起こしたのは和歌。予想外のケースとは言え、私が事後処理をしている

最中にね…。「隠さずに名乗り出た事は何よりですわ。それで不問と

致します。もし手を出していたなら…除名では済みませんわよ?」

これで抑えられるようなものであれば良いけど、難しいわね。

「はい、以後気を付けます。」和歌はいつものスペースに戻った。

後の二人は…何もしていない様だし、何も言わない。

 「ちょっと!まだ話は終わってないけど!」さすがに綾奈はこれで止まらない。

「『生徒会長になりたい。』結構な事ではありませんの。しかし、この私が

そういう方々を相手にして、今まで負けた光景を見まして?綾奈。」

「そんなの…一回も無い。」そう。私が語っているのは、純然じゅんぜんたる事実。

「では、堂々としていなさい。私の隣にいたいのならば。」

私が今、こうして生徒会長の座にいる事自体が、綾奈の苛立ちを落ち着かせる。

そして、この桐生院覇那こそ上に立つ者として相応しいことを

改めて刻み込ませた。その後隣からは声が聞こえなくなった。

事後処理は済んだことだし、今日の業務は特に無い。

何事も無ければ、早々に解散して帰ろうかしら…。

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