第12話 京音々という女

 元々自分から友人を作るようなタイプじゃない。ましてや、

こんな理由で生徒会長になりたいって言える人なんて、いるはずもない。

生徒会長になった三年の頃は、ただでさえ数少ない友人よりも

役員達と一緒に行動することが多かったので、友人は次第に離れていった。

受験が近い時期になると、気付けば周りには誰もいなかった。卒業の際会ったのは、

私が目をかけた後輩だけだったっけ。今はもう生徒会長になってるかな。

そんな時期があったので、『友人』という関係にはもう微塵みじんの興味も

無くなってしまっていた。私にとって得かどうか。たったそれだけ。

 そのような考えの私に、京音々は構わず話しかけてくる。別に話を聞くのは

嫌いじゃない。さっきは、色々な考えで混乱してああいう口調になっただけ。

音々は、ジュニアアイドルを経験した後、この学校に来たらしい。

本人曰いわく「目立つのが嫌になった」だそうだ。それにしては、

まだまだアイドルとして活躍出来そうな美形。それで目立つのが嫌というのは

少々贅沢ぜいたくな悩みだ。今はダンスの道を歩むために努力しているんだとか。

元アイドル、そりゃも強い。そういう人が輝く世界だから。こんな

ひねくれ者と『お友達』になりたいなんて、特殊な我。

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