第13話 音々の依頼

 音々との会話で色々なことが分かってしばらくしたある日、珍しく放課後に

屋上に呼び出された。大事な話ということだけど、わざわざ人気の無い所に

呼び出すなんて。こんなの、絶対何かされるやつじゃん。まあ、私は

そういう事態にも対応出来るように、空手を習ってた時期もあったから、

例え多対一だろうと容赦はしない。だけど、前のやらかしで先生方から

少々目をつけられている。嫌な時に嫌なシチュエーションが…。

 たどり着いた屋上は、殺風景なものだった。私が想像していた事は

脳内だけの出来事だと知ったところで、音々が言った。

「なんかされると思った?全然違うよ。未来の生徒会長サマにちょっと

お願いがあってね。」こういう『お願い』とやらも何か買ってくるような

そういうものじゃないかと邪推していると、一枚の写真を出した。

「アタシの席の後ろ…空いてるよね?あそこ、私の妹が転入してくるって。」

「妹?いいことじゃん。仲の良い姉妹が揃って同じ教室に」

「妹ってだけならいいよ。だけど、この事実つい昨日に聞いた話。

物心つく前に親が離婚して別れて、十何年経てついに姉が通う学校を

特定して入ってくるんだって。その転入の際に、文書を偽造したとか

何とかで揉めて、やっと解決した…。なんて話、昨日の今日で信じられる?」

本当に変な話を聞いた。どこまでが事実で、フィクションのくだりは?

音々は呆気に取られる私に構わず話を続けた。

「その妹…ちょっとヤバくてさ、何とかしてもらえない?」

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