第42話 中庭エンカウント

 夏休みも近い七月。生徒会からは何も無い。九月には体育祭、十月には

文化祭が控えている。夏休み前に粗方片付けておかねばならないことが

沢山控えているのだろう。もっとも、あの生徒会には苦にもならないような

作業なのだろうけど。変に絡まれないので、平和な日々を満喫している。

 しかし、この四ヶ月で色々な事が起こりすぎた。入学初日に生徒会と

一悶着あった日が、懐かしいとさえ思うくらいに。それでも、味方が

いない訳じゃない。これから増やしていければ上々だし。

 そういえばこの学園に於いて、反生徒会長の派閥はまだ存在するのかな。

最初に入った風紀委員会は偶然にもそういう感じではあったけど、

全校生徒全員に息が掛かっているというものでも無いようだ。

それなら、とっくに何かしらの嫌がらせがあっても不思議じゃない。

こうして平和な日々を謳歌しているのが逆に不思議な感じ。

 ネネや舞ちゃんにも今のところ被害は見受けられない。生徒会に

目を付けられているのはあくまでも私なので、巻き込まれて何か

トラブルに巻き込まれるのも何か、寝覚めが悪くなる気がするので。

だからこうして一人で闊歩かっぽしているというのに。…警戒し過ぎたかな?

 考え事をしながら中庭に出ると、ベンチに誰かが寝ている。

季節は夏の始まり。だというのに、日の当たる所でしっかり熟睡している。

格好は紺のブレザーにウルフヘアー。暑くないのかな?

「…もしもし。もしもし。起きてください!」

風紀委員としては何も用は無かったが、私自身としては気になる。

意を決して起こすと、ゆっくり上体を起こして目を擦りながら問いかけてきた。

「…今、何時?」

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