第41話 SIDE 明山 〜追いつき、追い越せ〜

 いきなり急に出てきて、私の前に立ちふさがる。これ程邪魔な存在が

いるだろうか。しかも、自身がその事実に気付いていないという所にも

許せない。それが例え、中学のテストという普遍ふへん的な日常のシーンであっても。

 だから、この学校でもそれを味わうことになるのは意外だった。

てっきり普通の高校に行って、そこでその自分の快感を味わうと思ってたから。

向上心があるタイプだとはね。もう我慢ならなかった。これからはすぐ後ろの

存在ってだけで無く、ライバルとしてあいつの前に立って、私の今までの

イライラを突き付けてやるの。こんなにも邪魔なものだったんだって。

 絶対ここでも生徒会長になろうって思ってるんでしょ。どういう

アプローチから立候補するのかは知らないけど、私は正攻法で行くわ。

生徒会執行部。役員、そして生徒会長になれる特急券。れるかどうかは

さておいて、目指すには一番近いルート。部活動・委員会活動解禁日に

真っ先に生徒会の戸を叩いた。会長そのものが目当てか、生徒会の座

目当てかという生徒達で席が埋まっていた。私もそれに混ざった。

 しかし皆の期待とは裏腹うらはらに、生徒会長は早々に出て行ってしまい、

説明係として残ったのは生徒会役員の面々。その中の前髪ぱっつんが口を開く。

「生徒会執行部の応募として来て頂いた皆さん。合格よ。一人残らず、

執行部員として入部を許可してあげる。ただし、貴女達はあくまでも『執行部』。

会長は勿論のこと、私達『役員』とは別の扱いになるの。いいこと?

全員、生徒会の飼い犬として働きなさい。以上。尚、貴女達の直接の管理は

この私、生徒会庶務である水無月伊予が行うわね。精々せいぜい結果を見せなさい。」

 …変な言葉が聞こえなかった?まあいいや。ここで結果を出せば、

直接認めてもらう機会もあるだろう。あいつの前を行く為にも、

ここは頑張って信頼を勝ち取りたいところね。

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