第39話 昏き星

 「…そう。やっぱこんなんじゃ、引き下がらないのね。」

先程とは雰囲気が全然違う。数秒前にいたお嬢様とは別物だった。

初めて対面で会った時の最後の捨て台詞みたいなものは、もしかしたら

この目の前の別人が言ったものだろう。そう言い切れる迫力がある。

切れ長の目つきの鋭さ。真一文字に閉ざされた唇。まとっている圧力。

 もしかして…またヤバいスイッチ入れちゃった?前の一件で気を付けよう

とは思っていたものの、私は窮地きゅうちで余計に口を出してしまう。でも、

この今に関しては後悔は無い。言いたい事が言えて逆にスッキリした。

しかし、目の前の状況が変わることは無い。真顔の生徒会長は続けた。

 「この私にそんなに言葉を浴びせる者は久しぶり…。なかなか苛立ちは

あるけど、面白いわ。貴女、生徒会執行部に入る気は無い?承諾しょうだくするなら、

此処での発言は聞かなかったことにしてあげる。」

二度と無い好機ではある。だけど、私は私自身の力で勝ち取りたい。

「いえ、お断りします。役員も役員なら、それを導く生徒会長もそういう

方だという事は分かりました。さぞかし裏では暴虐的に振る舞っているの

でしょうね。そんな方々の下に着けば、どうなることやら…。」

幸い今日は座っても、縛られてもいない。扉の近くにいたので、瞬時に

退散することが出来た。あれ以上、状況が酷くならないためにも。

それにしても、二重人格の生徒会長とは…。本当にキャラが濃い。

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