第30話 あの星は…

 昨日の放課後のことで頭がいっぱいだ。京姉妹が珍しく同時に

私に向かって喋ってくるが、大方昨日のことについてだろう。

生徒会長は、私をただ吠えるだけの愉快な犬のようなものだと思っている。

生徒会長という格上の任に就いているからか、それとも今まで会ってきた

人達の中から似たような感じのカテゴライズをしているのか、それは

定かでは無いが、『格下』と思われているのは間違いない。

 そして、最後のあの台詞せりふ。あれは多分、生徒会長としてではなく、

桐生院家令嬢・桐生院覇那が思わず出した素の自分自身。

何だ。やっぱりあんなお嬢様でも、ぞくっぽい所はあるんだね。

私は別に、素が出てしまったことに対して、恐ろしいとか怖いだとか

言う感情を抱いている訳ではない。逆に、わくわくしているのだ。

この私が一歩も引き下がらない姿を目の当たりにして、今までの挑戦者

とは違うということを感じ取ったのだろう。あのような反応をされたのは

予想外だったが、少しでも気にしてもらえたなら何よりだ。

 「ああ、ごめんごめん二人とも。聞いてなかったの。さあ、もう

授業が始まるし、続きは休み時間に聞いてあげる!」

しぶしぶ戻る二人だったが、目は諦めていなかった。

何から話したものか…。頭の中を整理しなければ、到底しっかりと

説明することは出来ない状況だった。

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