第17話 初めてのダンジョン3
ダンジョンの2階でゴブリンを倒すと強烈な悪臭を放つ腰蓑を落とした。放置確定である。近づくのも嫌だし、触るのなんて以ての外だ。
「あれが腰蓑か…放置だな…触りたくもない……」
魔石だけを拾って【アイテムボックス】に放り込む。リリーは無言で走り出した。それから何度もゴブリンと遭遇したが俺もリリーも一撃で倒している。3階に降りる階段に辿り着いた。
「降りると3階よ。オークが出るけど、基本的に単独だから問題なく倒せるわ」
「オークってでかいだろ?どうやって倒すのが効率が良いんだ?」
「そうね、膝に一撃を入れると倒れて動けなくなるから、そこで頭か首に攻撃するのが早いわね、でも力が強くて攻撃力だけは高いから注意が必要よ」
「てことは防いだりするより避けて攻撃の方がよいのか?」
「大きな盾を持ってるか、腕力に自信があるなら大丈夫だと思うけど……攻撃を貰うと骨折する事は無いけど、しばらく痺れて動かせなくなるわ。頭に貰うと気絶しかねないし」
「なら避けて膝を潰すのが正解だな」
リリーと共に階段を降りていく、1階あったような空間に出た。石柱もあり「三階」と刻まれている。
「石柱がある広場は魔物が来ないわ、ここで休憩したり野営したりするの」
「なるほど安全地帯て事か、どうする少し休憩するか?」
「まだ3階よ?それに入ってから時間もそんなにたってないから昼にもなってないわ、5階まで行ったら昼くらいだろうからそこで休憩にしましょ」
「わかった。なら進もうか」
「ここからは歩いて行くわ、ついてきて」
リリーの後について行く、しばらく歩いていると【気配察知】に引っかかり、大きな雄叫びが聞こえてきた。
「ブモォォォォォォ」
「来たわよ、オークは女性が居たら必ず狙うから攻撃は任せたわ」
「了解」
でかい図体をした豚顔の魔物がこちらに向かって走ってくる。目が血走っておりリリーばかりを見ている。そして腰蓑で隠れているが盛大に隆起しているのがわかる……【解析】
名前:
種族:オーク(雄)
ランク:D
レベル:11
ステータス
STR:120
VIT:110
INT:30
DEX:80
AGI:50
LUK:20
魔法:なし
スキル:【繁殖】【性豪】
「最悪だな、女好き?雌好き?かよ……」
リリーに向かって突っ込んで行くので回り込んで膝の裏を剣で切ってやった。走っていたオークは前に倒れ、その首にリリーが剣を突き刺し力尽きた。黒いモヤが出て肉の塊と魔石がドロップした。
「これは楽ね、首を刺す簡単な作業で肉を取り放題だわ」
「確かに楽だな、どうする?暫く3階でオークを狩るかい?」
「4階はバットで稼ぎが少ないから通過するつもりだったのよ、でも5階はミノタウルスがたまに出て美味しい肉が手に入るのよね、ただ他に出る魔物がコボルトで雑魚だし魔石とナイフしか落とさないのよね……」
「なら今回は3階で良いかもな、とりあえずオーク肉を大量に売ったらそれなりに稼げるだろ?」
「確かに稼げるわね、アルのダンジョン初体験だし今日はここで稼ぐとしましょうか…」
オークの殲滅が確定した。楽に倒せて稼げるなら悪いことではない。
「適当に歩きましょ、どうせ私の匂いを嗅ぎつけて向こうから勝手にやってくるわ」
リリーさんの匂いですか…俺もまた嗅ぎたい……はっ!!思考がヤバい方向に進みかけた……おん?リリーさんや何でそんなに睨んでるですか?
「アル、あなたろくな事考えてないでしょ?」
くっ!なぜわかった!
「そんな事ないさ、気の所為、気の所為」
「まあ良いわ、油断しないようにしましょう」
そう言ってリリーは歩き出した。しばらく歩くとオークが来るわ来るわ、片っ端からリリー目掛けて突っ込んで行く。俺は膝を潰して倒す簡単な作業だけです。リリーは先ほどと同じように首に剣を突き刺している。肉と魔石が【アイテムボックス】に大量に溜まっていく。
「そろそろ広場に戻って、お昼にしましょ」
「だな、疲れはしないが少々飽きてきた。」
広場に戻る途中でも何匹かやってきたので同じように倒す。広場に着くと冒険者が2階から降りてきた。
「(灼熱の魔女が居るぞ、隣に居る男は誰だ?)」
「(ポーターかなんかだろ?たいした装備じゃないし)」
『スキル【盗聴】を取得しました。』
な!スキル名に悪意を激しく感じる!せめて「聞き耳」とかにしてくれ、特に絡まれる事無く去って行ってたので昼飯を食うことにした。
「ほい、串焼き。熱いから気を付けろよ」
ん?なんかリリーが吃驚してるけどどうしたんだ?なんか変だったかな?
「アル、なんでまだ熱いの?」
「そりゃ、アイテムボックスに入ってた……か…ら…」
やってもうたーーーー、時間経過しないんだった!やべぇどうする?
「あなたの事だから何か秘密があるんでしょうけど……今は聞かないわ、でもそのうちちゃんと話してね」
「うっ、ごめん。それからありがとう。時が来たら必ず話すよ」
「約束よ、冒険者だから秘密の1つや2つ有るのが当然ね。気にならないって言ったら嘘になるけど今は気にしないわ」
「本当にごめんな」
「ふふふ、もう謝らないで、約束もしてくれたから良いわよ」
ええ娘や、本当にええ娘や。おっちゃん感動で泣きそうやわ。ダメだな完全に惚れちゃってる。今ので完全に自覚してしまった。
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